研究ノート No.2 公開日 2026年10月20日(最終更新 2026年10月20)

伊藤海(弁護士・弁理士、伊藤海法律事務所)

伊藤 海

この記事を書いた人:伊藤 海 弁護士/弁理士

弁護士/弁理士
東京弁護士会所属(登録番号:49989)
日本弁理士会所属(登録番号:21902)

取扱分野:企業法務、カルチャー・エンターテインメント法務、AI法務、ベンチャー・スタートアップ支援、知的財産権法

【要旨】

  • 2026年、声の保護をめぐる議論は「法律を作るか」から「どの型の法律にするか」へ移った。法務省の報告書(8月7日)、東京地裁の判決(9月30日)、経済産業省の小委員会が示した二つの方向性(10月13日)、日本俳優連合のガイドライン(10月15日)が、その流れを作っている。
  • 世界の立法は三つの型に分かれる。米国のデジタルレプリカ型、韓国と日本(経済産業省)の不正競争防止法型、そして人格権と財産権を分けて並立させる「声格権」型である。
  • 誰を、何を、譲渡・相続を、死後を、という四つの試金石で比べると、実演家の側の二つの要望(本人が直接止められること、事務所が財産として管理し承継できること)を両立できるのは、権利を二つに分ける型である。不正競争防止法の改正は必要だが、改正後も三つの空白が残る。

1 2026年に何が起きたか ‐ 「立法するか」から「どの型か」へ

声の保護をめぐる2026年の動きを、時系列で確かめておく。

8月7日、法務省の検討会が取りまとめ報告書を公表した。報告書は、声を「人物識別情報であり、かつ、個人の人格の象徴」と位置づけ、肖像と同様に、みだりに利用されない権利とパブリシティ権の双方の保護対象になると整理した。他方で、権利の譲渡・相続については「現時点で一致した見解を導き出すことは困難」とし、死後の保護は遺族の敬愛追慕の情による間接的な保護にとどめた。

8月27日、経済産業省の産業構造審議会不正競争防止小委員会は、知的財産推進計画2026が掲げた「ハードロー整備(不正競争防止法改正を含む)の必要性も含め引き続き議論を継続する」という課題を検討事項に掲げた。9月11日の第30回会合では、法務省、協同組合日本俳優連合、声優有志、日本声優事業社協議会、日本音楽事業者協会から聴取を行った。聴取では、声優有志が本人と所属事務所が直接権利を行使できる制度を、日本音楽事業者協会がパブリシティ権の財産権化を求め、肖像パブリシティ権擁護監視機構は、無断生成とみられるコンテンツを約2か月で4万3千件余り確認し、経済的損失を20億~45億円と試算した。

9月30日、東京地方裁判所は、声優が生成AIで自身の声を模倣した動画の削除を動画投稿サイトの運営会社に求めた事件で、「人の声は、人の肖像と同様に個人の人格の象徴である」とし、声の無断使用が「専らその声の有する顧客吸引力の利用を目的とする」ときはパブリシティ権の侵害に当たるとの一般論を示した(東京地判令和8年9月30日・令和7年(ワ)第70635号。公表裁判例として初めての判断とみられる)。もっとも同判決は、投稿が口頭弁論終結時までに削除されていたことを理由に請求を棄却し、声の類似性や運営者の削除義務には立ち入らなかった。同じ日、法務省は不法行為法制の在り方に関する研究会を始め、人格権の一般的な保護規定の要否や死後の人格権侵害への対応を検討事項に含めた。

10月13日、不正競争防止小委員会の第31回会合は、肖像や声の無断使用への対応として、二つの方向性(案)を示した。商品等表示の例示に「肖像」と「音声」を明記する方向性①と、肖像や声の無断使用を不正競争とする新しい類型を設ける方向性②である。10月15日には、日本俳優連合が「音声に関する生成AI利用ガイドライン」(全22条)を公表し、法制化への働きかけを続けるとした(ガイドラインの内容と法的な評価は、別稿「業界が先に線を引いた ‐ 日俳連「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を法律の目で読む」で扱った)。

議論は、「立法するか否か」から「どの型の法律にするか」へ移った。本ノートは、各国の動向と日本の議論を三つの立法モデルに整理し、四つの試金石で比べたうえで、日本の立法がどう動くかについての筆者の見立てと、改正の後に残る空白を示す。

2 三つの立法モデルとは

声の権利の立法モデルとは、生成AI等による声の無断利用に対して、どの法律に、どのような権利や規制を置くかという型のことである。各国の動きは、次の三つに整理できる。

(1)デジタルレプリカ型 ‐ 米国NO FAKES法案

デジタルレプリカ型とは、個人の声と容貌をAI等で再現した「デジタルレプリカ」に対する権利を、連邦法で新たに創設する型である。米国連邦議会上院のNO FAKES法案(S.4591)がこれに当たる。同法案は2026年6月18日に上院司法委員会を通過した。権利は財産権として構成されるが、生存中は譲渡できず、利用許諾は可能(期間の上限あり)で、死後も存続し、更新制の有期で承継される。主体は著名人に限らず全ての個人であり、プラットフォームの通知・削除の仕組みが執行を支える。特徴は、譲渡不能という人格権的な属性と、許諾・相続という財産権的な属性を、一個の権利の中に同居させている点にある。

報道によれば、9月30日に上院本会議で全会一致による可決が求められたが、風刺の例外の運用を理由に異議が述べられ、成立には至っていない。中間選挙後の会期か、次の議会に持ち越される見通しである。デンマークが10月8日に議会へ再提出した著作権法改正案(L 49)も、形式は著作権法だが、本人の同意のない写実的なデジタル模倣の公衆への提供を違法とする点で、内容においてはこの型に近い(第6参照)。

(2)不正競争防止法型 ‐ 韓国の2021年改正と日本の経済産業省ルート

不正競争防止法型とは、声の無断利用を「権利の侵害」としてではなく、営業上の利益を害する「不正競争行為」として規制する型である。韓国は、2021年の不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の改正(2022年施行)で、国内に広く認識され経済的価値を有する他人の氏名・肖像・音声等を、公正な商慣行や競争秩序に反する方法で自己の営業のために無断使用する行為を、不正競争行為と定めた。

日本で経済産業省の小委員会が検討の土俵とするのも、この型である。同省が2025年3月に公表した考え方の整理と委託調査研究報告書がその下地にあり、第31回会合の二つの方向性(案)は、いずれも不正競争防止法の内側で声を守ろうとするものである。保護法益は営業上の利益であり、要件として周知性ないし経済的価値が置かれやすい。利点は、差止め、損害額の推定といった既存の執行体制と親和的で、立法の実現可能性が高いことにある。限界は、要件の性質上、著名でない人の声、営業と無関係な侮辱や捏造、故人の声が射程から外れやすいことである(二つの方向性の評価は研究ノートNo.3「不正競争防止法の改正で「声」はどこまで守られるか」で詳しく扱う)。

(3)声格権型 ‐ 二つの権利の並立

声格権型とは、声について、譲渡できない人格権的権利と、譲渡・許諾・相続ができる財産権的権利とを、別個の権利として立法で並立させる型である。人格権的権利は、自己の声の同一性を害する改変・捏造・なりすましを、商用か否か、著名か否か、生死を問わず統制する権利(音声同一性保持権)であり、財産権的権利は、自己の声の経済的利用を専有し、期間の定めを伴う権利(音声利用権)である。著作者人格権と著作権(財産権)を別個の権利として並置する著作権法の建付けと同型であり、筆者はこの二つを合わせて「声格権」と呼んでいる。この型は独立の法律を要するが、財産権的権利の執行を不正競争防止法の改正に委ねる組合せが可能である。筆者は、この型の法律試案(2026年10月版)の骨子を研究ノートNo.1で公表している。

3 四つの試金石で比べる

立法モデルの当否は、次の四つの問いで測るとよい。第一に、誰が守られるか(著名人・事業者に限るか、万人か)。第二に、何が守られるか(経済的価値か、人格の同一性か、その両方か)。第三に、譲渡・許諾・相続をどう扱うか(正規の音声ライセンス市場と承継の基盤になるか)。第四に、死後をどう扱うか(誰が、どの範囲で、いつまで)。

試金石 デジタルレプリカ型(米NO FAKES法案) 不正競争防止法型(韓国タ目・日本の経産省ルート) 声格権型(二つの権利の並立)
誰が守られるか 全ての個人 周知性・経済的価値のある者(要件の組み方で変わる) 全ての個人
何が守られるか 人格的利益と経済的利益(一個の権利の中で) 営業上の利益 人格の同一性(人格権的権利)と経済的価値(財産権的権利)
譲渡・許諾・相続 譲渡不可・許諾可(期間上限)・相続可 定めなし(許諾契約に委ねる) 財産権的権利は譲渡・許諾・相続可(要式あり)、人格権的権利は一身専属
死後 存続(更新制の有期) 原則として射程外 人格権的権利は期間の定めなく保護(著作権法60条型)、財産権的権利は有限期間で承継

 

デジタルレプリカ型は、万人、両方、許諾可・譲渡不可・相続可、更新制の有期、という答えを一個の権利で出す。その代償として、人格的利益と経済的利益が衝突したときにどちらを優先するかが条文からは読めず、契約実務は「譲渡できないが許諾はできる財産権」という独特の権利を扱うことになる。

不正競争防止法型は、周知性・経済的価値のある者、経済的価値、既存の枠内で許諾契約に委ねる、原則として射程外、という答えになる。声優有志が求める「本人が直接行使できる」保護は、営業上の利益の枠を通してしか届かず、一般人の声の合成や故人の声の捏造は残る。判例法理のパブリシティ権も同じ軸の上にあり、9月30日の判決が、声を人格の象徴と認めながら、顧客吸引力の利用を目的とする行為を規律するにとどまり、投稿の削除をもって救済を終えたことは、この型の救済が事後的かつ一回的であることを示している。

声格権型は、人格権的権利に、万人の保護、同一性の保護、期間の定めのない死後の保護(著作権法60条型)を担当させ、財産権的権利に、経済的価値の保護、譲渡・許諾・相続、有限期間の承継を担当させる。二つの権利が分かれているため、優先順位は条文から一義的に導かれ、契約実務は著作権の譲渡と著作者人格権の不行使特約という既存の型を転用できる。

4 実演家の側の二つの要望は、どの型で両立するか

声優有志の要望の核心は、声を使われる本人が、事務所や第三者を介さずに、自らの名で止められることにある。これは人格権的権利の主体を本人に固定することで満たされる。日本音楽事業者協会の要望の核心は、声の経済的価値を事業として管理し、承継できる権利にすることにある。これは財産権的権利を譲渡・許諾・相続の対象とすることで満たされる。

二つの要望は、一個の権利に同居させようとすると衝突する。本人が直接行使できる権利は譲渡になじまず、事業として管理する権利は本人の一身専属になじまないからである。不正競争防止法型は後者に寄り、デジタルレプリカ型は両者を一つの器に押し込む。二つの権利に分ければ、本人は同一性の統制を手放さずに、経済的価値の管理を事務所に委ね、承継させることができる。分けるからこそ、財産権化を安心して認められる。この点で、9月11日の聴取に現れた二つの要望は対立ではなく、二元的な立法の二つの柱にほかならない。

業界の自主規範も、既にこの二つの語彙で動いている。日本俳優連合のガイドラインは、学習・生成・利用の各段階で実演家本人の書面による同意を求める一方で、実演家と所属事務所の双方との契約を予定し(16条3項)、実演家の声の改変を「同一性保持権及び人格権の侵害」と呼び(15条2項)、故人の音声について「死後人格権及び財産的価値の不当な搾取の防止」を目的に掲げている(1条2項3号)。本人の同一性と、事務所が管理する財産的価値とを分けて扱う発想は、業界の実務の中に既にある。

なお、不正競争防止法の改正それ自体を否定する趣旨ではない。財産権的権利の侵害に対応する不正競争行為の類型を設け、既存の執行体制を使うことは、実効性の面で合理的である。必要なのは、その改正が拾えない三つの領域(非商用の侵害、一般人の声、故人の声)を独立法の側で受ける組合せである。

5 日本の立法はどう動くか ‐ 見立てと、改正の後に残る空白

立法の経路は二つある。第一は経済産業省ルートである。不正競争防止小委員会は、第31回会合で二つの方向性(案)と論点を示した段階にあり、取りまとめや法案提出の時期は示していない。過去の不正競争防止法改正の歩みに照らせば、改正に進む場合でも、標準的には2028年成立・2029年施行と見るのが筆者の見立てである。日本俳優連合の副理事長も10月15日の会見で、政府の法整備には「まだ数年かかると思われます」と述べている。改正があるとすれば、営業上の利益を守る行為規制の型、すなわち不正競争防止法型になる。

第二は法務省ルートである。不法行為法制の在り方に関する研究会は、人格権の一般的な保護規定の要否、死後の人格権侵害への対応、差止請求権の明文化、慰謝料の考慮要素を検討事項に掲げている。法務大臣も9月29日の会見で、声の権利の保護に強い関心を示し、研究会で人の声に関する権利の侵害も含めて検討する旨を述べた。もっとも、研究会から法制審議会への諮問、要綱、法案という民法改正の手順を踏めば、成立は早くても2029年以降と見込まれる(筆者の推測)。知的財産推進計画2027の策定過程(意見募集は例年2~3月)で、両ルートの方向が固まる可能性がある。

重要なのは、どちらのルートで改正が実現しても、三つの空白が残ることである。というのも、不正競争防止法の改正は、営業上の利益を保護する行為規制であるため、権利を創設して譲渡・相続・存続期間を定めることはなく、顧客吸引力を持たない者の声や、営利目的によらないなりすまし・捏造には及びにくい。人格権の一般規定は、有名無名を問わない人格的利益の保護に道を開くが、声の財産的側面の帰属と承継、すなわち利用権の譲渡・相続・存続期間や故人の声の財産的価値の帰属を定めるものではない。譲渡・相続・死後の保護、顧客吸引力を持たない者の声、営利目的によらないなりすまし・捏造 ‐ 報告書と判決が残したこの三つの空白は、改正がなければそのまま残り、改正があっても埋まらない。

声格権型は、この空白を埋めるための概念である。人格権的権利が万人の声の同一性を商用か否か、生死を問わず守り、財産権的権利が譲渡・許諾・相続と存続期間を定めることで、二つのルートがいずれも扱わない領域を正面から引き受ける。それは、改正を待たずに契約実務が今必要としている枠組み(人格的統制に関わる事項と経済的利用に関わる事項を分けて定める許諾契約の型)であると同時に、改正の後には、新しい規定が何を解決し何を残したのかを測る物差しとなる。二つのルートは対立ではなく、筆者の立場からは二元構成の二つの半身である(研究ノートNo.1参照)。

反対説にも触れておく。不正競争防止法の改正で足りるとの見解は、実効性と立法の実現可能性を重んじる点で傾聴に値するが、行為規制は権利の帰属を定めないため、正規の音声ライセンス市場と承継の基盤にはならない。一個の人格権で足りるとの見解は、ドイツの一般的人格権の展開に支えを持つが、譲渡を認めれば本人保護が、認めなければ取引の基盤が損なわれる板挟みを、一個の権利の内部で解くことは難しい。三つの空白を直視するなら、独立法と不正競争防止法改正の組合せが、最も現実的な選択だと考える。

6 2026年の比較法の材料

議論の参考になる動きを五つ挙げる。

中国では、北京インターネット法院が2024年4月23日、声優の声をAI音声製品に無断で用いた行為について、民法典1023条2項に基づき声の権益の侵害を認めて経済的損失の賠償等を命じ((2023)京0491民初12142号。確定)、最高人民法院が2025年6月12日、これを人格権侵害の典型案例の一つとして公表した。

フランスの破毀院は2026年6月24日、声を肖像と並ぶ人格の主要な属性とし、声の尊重を受ける権利が民法典9条の私生活の尊重の権利に含まれることを明示した。

デンマークは、2025年に公表した顔と声のディープフェイク規制の著作権法改正案が同年の総選挙で廃案となった後、2026年10月8日、新政権の文化相が改正案(L 49)を議会に再提出した。報道によれば、本人の同意のない写実的なデジタル模倣(顔・声・身体の動き)の公衆への提供を違法とし、同意の立証責任を提供者側に置き、死後50年まで保護し、風刺・パロディ・権力批判を例外としつつ、刑事罰は置かない内容で、2027年1月1日の施行を予定している。

韓国は、不正競争防止法の型に加えて、人格標識営利権を民法に新設する改正案を2022年12月に立法予告したが、成立していない。2026年1月には、国会議員がパブリシティ権の保護に関する独立の法律の制定案を発議したと報じられている(本稿執筆時点で審議状況は未確認)。

米国では、前記のとおりNO FAKES法案が上院司法委員会を通過したが、本会議での可決には至っていない。テネシー州は2024年のELVIS法で、声を含む人格的徴表の権利を財産権として定め、死後の存続を明文化している。

中国とフランスは人格権の側から、デンマークは著作権法の側から、韓国と米国は財産権の側から、それぞれ声に迫っている。人格権的権利と財産権的権利を分けて並立させる立法は、筆者の調査の限り、なお空席である。

7 よくある質問

Q1 デジタルレプリカ権とは何か。

個人の声や容貌をAI等で再現したもの(デジタルレプリカ)について、本人の許諾なく作成・流通させることを禁じる権利である。米国のNO FAKES法案が連邦法としての創設を提案している。日本には、この名称の権利はない。

Q2 声格権とは何か。

声について、譲渡できない人格権的権利(音声同一性保持権)と、譲渡・許諾・相続ができる財産権的権利(音声利用権)とを並立させる構成を指す、筆者の提唱する概念である。現行法上の権利ではなく、立法の提案である。詳しくは「声格権(音声人格権)とは」の解説と研究ノートNo.1を参照されたい。

Q3 不正競争防止法を改正すれば、声の問題は解決するか。

営業として行われる無断利用に対しては、差止めや損害賠償を求めやすくなる。しかし、不正競争防止法は行為規制であり、権利の帰属・譲渡・相続・存続期間を定めない。営利目的によらないなりすましや、故人の声の扱いも、要件の組み方次第で射程から外れる。改正は必要だが、それだけでは三つの空白が残る。

Q4 日本で声の権利の法律ができるのはいつか。

公表された日程はない。不正競争防止法の改正は、小委員会の議論、中間取りまとめ、意見募集を経て法案となる。筆者の見立てでは、最速で2027年の通常国会、標準的には2028年の成立である。人格権の一般規定を民法に置く法務省ルートは、それより時間を要する。

Q5 有名ではない人の声も守られるか。

現行の判例法理のパブリシティ権は顧客吸引力を前提とし、不正競争防止法型も周知性や経済的価値を要件としがちである。一般人の声を守るには、保護の入口を著名性ではなく識別可能性に置くか、人格権の側で万人の声を守る構成が必要になる。

8 おわりに

研究ノートNo.1(10月11日公開)では、声格権型の法律試案(2026年10月版)の骨子を日付を付して公開した。小委員会の議論が「どの型か」に進んだ以上、型の議論は条文の形で示すのが最も生産的だと考えるからである。研究ノートNo.3では、不正競争防止小委員会が示した二つの方向性を取り上げ、不正競争防止法の改正で声がどこまで守られるかを論じる。次いで、死後の声の保護と不法行為法制の見直しを扱う予定である。

出典

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筆者について

伊藤海(いとう・かい)。弁護士(東京弁護士会)・弁理士。伊藤海法律事務所代表。エンターテインメント法・知的財産法を専門とし、声優・俳優等の実演家、芸能プロダクション、アニメ制作会社、VTuber、音楽業界、音声合成技術を扱う事業者の法務に携わる。2026年8月、法務省検討会報告書の公表に際し、共同通信配信の識者談話が北海道新聞・京都新聞等に掲載され、静岡放送SBSラジオ「IPPO」に出演。同年10月、経済産業省・不正競争防止小委員会の事務局に意見書を提出。「声格権の保護に関する法律」試案(2026年10月版)を起草し、骨子を公表している。

本稿は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。声の利用に関する契約や無断利用への対応については、当事務所にご相談ください。

公開日: 2026年10月20日カテゴリー:

この記事を書いた人:伊藤 海 弁護士/弁理士

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