ショート動画はスマートフォンから手軽に視聴できるため、企業がPRとして制作するケースも増えています。また、生成AIを活用することで、ショート動画をより効率的に制作しやすくなるでしょう。
しかし、ショート動画の制作に生成AIを用いる際は、法律違反をしないよう注意しなければなりません。
では、生成AIを使ってショート動画を作成する際、どのような法律に注意すればよいのでしょうか?また、生成AIやショート動画で法律違反をしないためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?
今回は、ショート動画や生成AIに関連する主な法律や生成AIを使ってショート動画を作成する際に法律違反をしないための対策などについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、ショート動画や生成AIに関する法律相談についても豊富な対応実績を有しています。ショート動画や生成AIの法律について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
生成AIを活用したショート動画とは?
ショート動画とは、短時間で視聴できる動画コンテンツです。一般的には、YouTubeやTikTokなどのSNS上で視聴されることが多いでしょう。
一般的な横型の動画とは異なりショート動画は縦型のことが多く、「視聴」などのボタンをクリックしなくともスクロールだけで再生されることが一般的です。
ショート動画の「尺」の定義は、ツールごとに異なります。たとえば、YouTubeのショート動画である「YouTubeショート」は最大60秒です。
また、TikTokのショート動画は15秒から10分と長めに設定されています。ただし、視聴者の注意を引くには「長い方がよい」というものでもないことから、15秒から60秒程度のショート動画が大半でしょう。
ショート動画は撮影から投稿までがスマホだけで完結するため、動画投稿の手軽なツールであると言えます。また、視聴者の注意を惹きやすいうえ、モバイルデバイスとの相性がよい点も特徴です。
そのため、企業がショート動画を使ってPRしたり、ショート動画自体で収益化したりするケースも増えています。
そして、近年では生成AIを使ったショート動画も散見されるようになりました。生成AIを使うことで、より手軽にショート動画が作成できます。
また、普通にカメラを回しただけでは撮影できないようなインパクトのある動画の生成も可能となり、よりユーザーの関心を引きやすくなるでしょう。
ショート動画を生成AIを使って出力する際に注意すべき主な法律
ショート動画の作成に生成AIを用いる際、どのような法律に注意すればよいのでしょうか?ここでは、生成AIを使ったショート動画の作成時に特に注意すべき法律を4つ紹介します。
- 著作権法
- 不正競争防止法
- 個人情報保護法
- 肖像権
なお、伊藤海法律事務所はカルチャー・テクノロジー法務に特化しており、生成AIやショート動画に関する法律助言が可能です。お困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
著作権法
1つ目は、著作権法です。これは、著作権の保護に関する法律です。
生成AIは、インターネット上にある無数の著作物を「学習」し、そこから新たな動画などを生成します。ショート動画の作成に生成AIを用いることが直ちに著作権侵害となるわけではありません。
しかし、出力された動画が他者の著作物に酷似している場合、著作権侵害が疑われてトラブルに発展するおそれがあるでしょう。そのため、生成AIを使ってショート動画を作成しようとする際は、著作権法を理解したうえで、侵害行為をしないよう注意を払う必要があります。
不正競争防止法
2つ目は、不正競争防止法です。不正競争防止法とは、その名称のとおり、「不正な競争」の防止を目的とする法律です。
前提として、「営業秘密」の不正取得や不正利用などは不正競争防止法に違反します。しかし、ある情報が「営業秘密」として保護されるには、その情報が公然と知られておらず、秘密として管理されているなどの要件を満たさなければなりません。
ショート動画の作成のために営業秘密に当たる情報を生成AIに読み込ませ学習させた場合、その情報は不正競争防止法上の「営業秘密」から外れ、保護されなくなるおそれが生じます。そのため、生成AIに読み込ませる情報は慎重に選別する必要があるでしょう。
個人情報保護法
3つ目は、個人情報保護法です。個人情報保護法とは、個人情報の有用性に配慮しつつ個人情報を保護することを目的とする法律です。
個人情報取扱事業者は、個人情報を適切に管理・利用しなければなりません。そのため、利用目的の範囲を超えて本人に無断で個人情報を生成AIに読み込ませた場合、個人情報保護法に違反する可能性があります。
そのため、ショート動画の作成を目的として生成AIに個人情報を読み込ませることは、避けるべきでしょう。また、業務上生成AIに個人情報を読み込ませる必要があるのであれば、その生成AIが入力したデータを学習に用いないことを事前に入念に確認しておく必要があります。
肖像権
4つ目は、肖像権です。肖像権とは、私生活をみだりに公開されない権利です。法律上明記された権利ではないものの、判例で確立されています。
肖像権には、人格的な側面を保護する「プライバシー権(狭義の肖像権)」と、財産的な側面を保護する「パブリシティ権」があります。生成されたショート動画の登場人物が実在の著名人に酷似している場合、肖像権の侵害であるとして損害賠償請求などがなされる可能性があります。
ショート動画や生成AIで法律違反(著作権侵害)をするとどうなる?
ショート動画や生成AIで法律違反をした場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか?ここでは、生成AIで作成したショート動画で著作権侵害をした場合に生じ得ることを解説します。
- 権利者から差止請求がされる
- 権利者から損害賠償請求がされる
- 企業の信頼が低下する
生成AIで作成したショート動画が著作権侵害であると主張されている場合、早期に伊藤海法律事務所までご相談ください。ご相談いただくことでそのケースにおける著作権侵害の有無の判断が可能となり、その後の対応策を検討しやすくなります。
権利者から差止請求がされる
生成AIで作成したショート動画が著作権侵害にあたる場合、権利者から差止請求がされる可能性があります。差止請求とは、侵害行為をやめるよう求めることです。
権利者から損害賠償請求がされる
著作権侵害は、損害賠償請求の対象となります。損害賠償請求とは、相手の不法行為によって生じた損害を金銭の支払いで償うよう求めるものです。
ショート動画や生成AIで著作権侵害をした場合、権利者から損害賠償請求がされる可能性があるでしょう。
企業の信頼が低下する
生成AIを使って作成したショート動画が著作権侵害にあたる場合、発信者である企業の信頼が低下するおそれがあります。
また、他社(A社)から制作を依頼されて納品したショート動画に著作権侵害がある場合、委託者であるA社の信頼低下につながるおそれもあるでしょう。この場合は、A社から損害賠償請求がされる可能性も生じます。
ショート動画や生成AIで法律違反をしない対策
ショート動画を生成AIを使って作成する場合、法律違反をしないためにはどのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、主な対策を4つ解説します。
- 関連する法律をよく理解する
- 他者の権利に「ただ乗り」しようとしない
- ガイドラインを整備する
- 困った際に相談できる弁護士を見つけておく
関連する法律をよく理解する
対策の1つ目は、関連する法律をよく理解することです。
法律に誤解があれば、誤った認識から法律違反をするリスクが生じます。特に、著作権については誤解が少なくないため、正しく理解しておきましょう。
著作権に対する主な誤解としては、「インターネット上に無料で掲載されている画像やイラストには著作権がない」というものや、「元のイラストをそのまま使用しなければ著作権侵害にはならない」というものなどが挙げられます。
他者の権利に「ただ乗り」しようとしない
対策の2つ目は、他者の権利に「ただ乗り」しようとしないことです。
たとえば、著名人にショート動画に出演してもらえれば、動画が「バズる」可能性を高められることでしょう。とはいえ、正規のルートで著名人に出演を依頼すればまとまった費用がかかるうえ、そもそも依頼を受けてもらえるとも限りません。
そうであるからといって、生成AIを使ってあたかもその著名人が出演しているようなショート動画を作成することは避けるべきです。このような「ただ乗り」行為は肖像権侵害に該当し、大きなトラブルに発展するおそれがあります。
ガイドラインを整備する
対策の3つ目は、ガイドラインを整備することです。
ショート動画の作成に生成AIを用いる場合、社内や外部のフリーランスが遵守すべきガイドラインを制定すべきでしょう。ガイドラインがなくそれぞれの判断で生成AIを使えば、思わぬ法律違反をするおそれがあるためです。
ガイドラインを作成し、生成AIの利用にあたって「やってはいけないこと(禁止事項)」や生成AIを使って作成したショート動画を世に出す前のチェックフローなどを明確にすることで、法律違反を避けやすくなります。
困った際に相談できる弁護士を見つけておく
対策の4つ目は、相談できる弁護士を見つけておくことです。
ショート動画の作成などに生成AIを用いる場合、「これは法律上問題ないのだろうか?」などと判断に迷うことも多いでしょう。判断を誤ると、法律違反となるおそれが生じます。
弁護士と顧問契約を締結しておくことで迷った際に弁護士に相談することが可能となり、的確な判断がしやすくなります。
なお、伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテインメント法務に特化しており、生成AIやショート動画に関して豊富なサポート実績を有しています。また、顧問契約にも対応しており、顧問先様はチャットツールなどを使って気軽にご相談いただけます。
生成AIやショート動画について日頃から相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご連絡ください。
ショート動画や生成AIの法律でお困りの際は伊藤海法律事務所へご相談ください
ショート動画や生成AIに関する法律についてお困りの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- カルチャー・テクノロジー法務に特化している
- 知財に強い
- 4種類の顧問プランを設けている
- 英文契約書にも対応している
カルチャー・テクノロジー法務に特化している
ショート動画や生成AIなど最新のカルチャーやテクノロジーは、弁護士によって得意・不得意が分かれやすい分野であると言えるでしょう。
伊藤海法律事務所はカルチャー・テクノロジー法務に特化しており、具体的なトラブルが発生した場合の対応のサポートのみならず、ビジネスの構想段階や実施段階における法的助言やビジネスモデルチェックなども可能です。
知財に強い
伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに知財の専門家である弁理士資格も有しています。そのため、知財の保護から知財侵害時の対応に至るまで、一貫したサポートを提供できます。
4種類の顧問プランを設けている
伊藤海法律事務所は顧問契約にも対応しており、顧問料内でのサポート範囲が異なる4種類の顧問契約プランを展開しています。そのため、個人事業から上場会社に至るまで、過不足のないリーガルサポートが可能です。
また、顧問契約をいただいた際には法務部チャットに弁護士を追加いただくことも可能となるため、トラブルの初期段階からの関与が実現できます。
英文契約書にも対応している
伊藤海法律事務所は、英文契約書にも対応しています。そのため、ショート動画の作成などにあたって海外の企業や個人と契約を締結すべき場面でも、一貫したサポートを提供できます。
伊藤海法律事務所の主な解決実績
伊藤海法律事務所は、生成AIを活用したショート動画の作成に関して豊富なサポート実績を有しています。ここでは、当事務所の主なサポート事例を紹介します。
- ショートドラマの制作にあたり生成AI利用マニュアルを作成
- 監督やディレクターとの業務委託契約書作成
- 知的財産権の帰属の整理
このほかにも状況やご希望に応じた柔軟なサポートが可能ですので、お困りの際はまずお気軽にお問い合わせください。
ショートドラマの制作にあたり生成AI利用マニュアルを作成
ショートドラマの制作に生成AIを活用することになった企業様からのご依頼で、社内マニュアルを作成した事例です。
生成AIは便利である一方で、無秩序に利用すれば権利侵害をするおそれが生じます。そこで、弁護士が生成AIの利用マニュアルを作成し、社内ルールを整備しました。
監督やディレクターとの業務委託契約書作成
ショート動画の制作では、監督やディレクターなど外部の企業・個人の協力を受けることも多いでしょう。この際、正式な契約書を交わさなかったり取り交わした契約書の内容に問題があったりすれば、著作権の帰属や委託する業務範囲などをめぐってトラブルに発展するおそれがあります。
そのような事態を避けるため、弁護士が監督やディレクターと締結する業務委託契約書を作成しました。
知的財産権の帰属の整理
ショート動画の制作では、知財の帰属についてトラブルに発展することがあります。特に、正式な契約書を交わさないまま制作が進行している場合には、意見が対立し解決までに時間を要することもあるでしょう。
そこで、弁護士がいったん交通整理を行い、その時点における知的財産権の帰属を明確化しました。
ショート動画や生成AIの法律に関するよくある質問
最後に、ショート動画や生成AIの法律に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
ショート動画や生成AIを活用する際に知っておくべき主な法律は?
ショート動画や生成AIを活用する際に知っておくべき法律としては、著作権法や不正競争防止法、個人情報保護法などが挙げられます。とはいえ、法律のうち関連する部分だけを的確に抜き出して理解するのは容易ではないでしょう。
そのため、弁護士のサポートを受け、具体的な状況を踏まえて注意すべき点を整理することをおすすめします。
ショート動画を生成AIを使って作ることは法律違反?
生成AIを使ってショート動画を作ること自体は、法律違反ではありません。
ただし、生成されたショート動画が他者の著作権などを侵害していないか、公表前に慎重に確認する必要があるでしょう。
まとめ
ショート動画を生成AIを使って作成する際に注意すべき法律や、法律違反をしないための対策などについて解説しました。
ショート動画や生成AIに関する法律としては、著作権法や不正競争防止法、個人情報保護法などが挙げられます。関連する法律を把握したうえで社内ガイドラインを作成し、思わぬ法律違反をしないよう注意しましょう。
ショート動画や生成AIに精通した弁護士と顧問契約を締結しておくことで、判断に迷った際に気軽に相談することが可能となります。
伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、ショート動画や生成AIに関して豊富なサポート実績を有しています。ショート動画や生成AIの法律について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。



