新たにサプリメントや化粧品などを取り扱うビジネスを始めようとする際は、薬機法55条2項に違反しないよう注意しなければなりません。万が一これに違反すれば、罰則が適用される可能性があります。
では、薬機法55条2項ではどのような規制がされているのでしょうか?また、薬機法55条2項に違反した場合には、どのような罰則が適用されるのでしょうか?
今回は、薬機法55条2項の概要や薬機法55条2項に違反した場合に適用される罰則、薬機法68条との違い、薬機法55条2項に違反しないための対策などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)は医療、医薬品ビジネス法務に特化しており、薬機法に違反しないためのビジネスモデルチェックや合法化するためのビジネスモデルの提案なども可能です。薬機法55条2項に違反しないための対応について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご連絡ください。
薬機法とは?
薬機法は、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。この名称どおり、医薬品等の品質や有効性、安全性の確保やこれらの使用による保健衛生上の危害の発生・拡大の防止のために必要な規制を行っています(薬機法1条)。
なお、この法律において、「医薬品等」とは次のものを指します。
- 医薬品:医療用医薬品、市販薬、体外診断用医薬品など
- 医薬部外品:人体への作用が緩和なもので、法令または告示で規定されているもの(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンクなど)
- 化粧品:人の身体を清潔、美化等するために外用するものであって、人体への作用が緩和なもの(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品など)
- 医療機器:ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置、メスなど
- 再生医療等製品:細胞加工製品、遺伝子治療用製品など
参照元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の概要(厚生労働省)
薬機法の規制対象者
薬機法の規制対象は、誰なのでしょうか?ここでは、規制対象者の概要について解説します。
多くの規定:医薬品等の製造・販売に関わる事業者
薬機法の多くの規定は、医薬品等の製造・販売に関わる事業者を規制対象としています。これらに該当する事業者は、薬機法のすべての規制内容を理解しておくべきでしょう。
一部の規定:すべての人
薬機法には、すべての人を規制対象としている規定も存在します。薬機法のうち、すべての人が規制対象となる規定は次のものなどです。
| 条文 | 概要 |
| 55条2項 | 無承認無許可医薬品等の販売・授与等の禁止 |
| 66条 | 虚偽・誇大広告等の禁止 |
| 67条 | 特定疾病用の医薬品と再生医療等製品の広告の制限 |
| 68条 | 無承認医薬品等の広告の禁止 |
そのため、これらの条文は日頃から医薬品等の製造・販売などに携わる事業者以外も正しく理解し、違反しないよう注意する必要があります。
自社の行おうとするビジネスがこれらに抵触しないか否か判断に迷う際には、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。事前にご相談いただくことで、思わぬ違反を避けやすくなります。
薬機法55条2項とは?
薬機法55条2項は、どのような内容が規制されているのでしょうか?薬機法55条2項の条文を紹介するとともに、規制内容や薬機法68条との違いを解説します。
薬機法55条2項の条文
薬機法55条2項の条文は、次のとおりです。
- 第13条の3第1項の認定若しくは第13条の3の2第1項若しくは第23条の2の4第1項の登録を受けていない製造所(外国にある製造所に限る。)において製造された医薬品、第13条第1項若しくは第8項若しくは第23条の2の3第1項の規定に違反して製造された医薬品又は第14条第1項若しくは第15項(第19条の2第5項において準用する場合を含む。)、第19条の2第4項、第23条の2の5第1項若しくは第15項(第23条の2の17第5項において準用する場合を含む。)、第23条の2の17第4項若しくは第23条の2の23第1項若しくは第7項の規定に違反して製造販売をされた医薬品についても、前項と同様とする。
引用する条文が多くて非常に難解であるものの、これを整理すると、次の医薬品について「前項と同様とする」と規定されています。
- 第13条の3第1項の認定若しくは第13条の3の2第1項若しくは第23条の2の4第1項の登録を受けていない製造所(外国にある製造所に限る。)において製造された医薬品:必要な認定・登録を受けていない医薬品等外国製造業者によって製造された医薬品
- 第13条第1項若しくは第8項若しくは第23条の2の3第1項の規定に違反して製造された医薬品:必要な製造業許可、登録を得ずに製造された医薬品
- 第14条第1項若しくは第15項(第19条の2第5項において準用する場合を含む。)、第19条の2第4項、第23条の2の5第1項若しくは第15項(第23条の2の17第5項において準用する場合を含む。)、第23条の2の17第4項若しくは第23条の2の23第1項若しくは第7項の規定に違反して製造販売をされた医薬品:必要な承認、認証を得ずに製造販売された医薬品
そして、「前項と同様とする」とは、「販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。」ことを指します。
薬機法55条2項の規制内容
薬機法55条2項の規制内容をわかりやすく言い換えると、次のとおりとなります。
- 原則として、次の医薬品を販売したり授与したり、販売・授与の目的で貯蔵・陳列したりしてはならない
- 必要な認定・登録を受けていない医薬品等外国製造業者によって製造された医薬品
- 必要な製造業許可、登録を得ずに製造された医薬品
- 必要な承認、認証を得ずに製造販売された医薬品
- 例外的に、厚生労働省令で別段の定めをしたときはこれらの販売等が合法となる
さらに平たく言えば、「無承認無許可医薬品等の販売・授与・貯蔵・陳列の禁止」です。
なお、先ほど解説したように、この条文の対象者は医薬品等の製造・販売に関わる事業者に限られません。たとえば、無承認無許可医薬品等を何らかのルートで入手した一般個人がこれをフリマサイトで販売した場合にも、薬機法55条2項違反となります。
同様に、自社が販売する日本未発売のサプリメントに医薬品成分が混入していた場合、無承認医薬品の販売であるとして薬機法55条2項違反となるおそれがあるでしょう。
思わぬ違反を避けるため、医薬品やサプリメントなどに関する新たなビジネスを始める前には弁護士に相談をしてビジネスモデルのチェックを受けることをおすすめします。
ビジネスモデルのリーガルチェックをご希望の際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。当事務所はスタートアップ法務に特化しており、ビジネスモデルのリーガルチェックや薬機法違反を避けるビジネスモデルの提案などについて豊富な実績を有しています。
薬機法68条との違い
薬機法55条2項と比較されやすい条文として、68条が挙げられます。薬機法68条は、先ほど表中で触れたように、無承認医薬品等の広告を禁止する条項です。
薬機法55条2項と68条は、いずれも「無承認医薬品等」に関する一定の行為を禁止しています。禁止対象の行為は、それぞれ次のとおりです。
| 条文 | 無承認医薬品等について禁止する行為 |
| 55条2項 | 販売、授与、販売・授与の目的で貯蔵・陳列 |
| 68条 | 広告 |
そのため、仮に無承認医薬品等について自社で広告をして販売したり販売目的で貯蔵したりした場合、薬機法の55条2項と68条の両方に違反することとなります。
薬機法55条2項に違反した場合の罰則
薬機法55条2項に違反した場合の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科です(薬機法84条18号)。
また、法人の業務として55条2項の規定に違反した場合には行為者が罰せられるほか、法人も1億円以下の罰金刑の対象となります(同90条1号)。
薬機法55条2項に違反しないための対策
薬機法55条2項に違反しないためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、主な対策を2つ紹介します。
- 薬機法について正しく理解する
- ビジネスモデルの検討段階で弁護士に相談する
薬機法について正しく理解する
1つ目は、薬機法について正しく理解することです。
薬機法について、「医薬品等を直接製造・販売しない事業者には関係がない」などの誤解も少なくありません。また、「他社から仕入れてサプリメントなどを転売する程度では、薬機法違反となるリスクがない」などと考えることもあるでしょう。
しかし、先ほど解説したように、薬機法の中にはすべての人を対象とする規定も存在します。また、そのサプリメントが無承認医薬品等に該当する場合、自社が55条2項に違反するおそれもあるでしょう。
薬機法について正しく理解しておくことで、知らずに違反する事態を避けやすくなります。
ビジネスモデルの検討段階で弁護士に相談する
2つ目は、ビジネスモデルの検討段階で弁護士に相談することです。
新たなビジネスを思いついたら、それを実行に移す前に弁護士にご相談ください。事前に弁護士に相談することで、そのビジネスモデルに潜む法律上のリスクが把握でき、思わぬ違反を避けやすくなります。
伊藤海法律事務所は薬機法やスタートアップ法務に特化しており、ビジネスモデルのリーガルチェックへの対応も可能です。薬機法55条2項などへの違反を避けたい場合には、ビジネスモデルの検討段階で伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
薬機法55条2項への違反を避ける対策は伊藤海法律事務所にお任せください
薬機法55条2項への違反を避ける対策を講じたい場合には、伊藤海法律事務所までご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- ビジネスモデルのリーガルチェックを得意としている
- 4種類の顧問契約プランを展開している
- 代表は弁護士のほかに、弁理士資格も有している
- 英文契約書にも対応している
ビジネスモデルのリーガルチェックを得意としている
伊藤海法律事務所は、ビジネスモデルのリーガルチェックを得意としています。
ほかにも、ベンチャー・スタートアップ企業を中心に、設立支援や必要な行政への届出や許認可の取得、契約書の整備、資金調達支援、新規株式公開(IPO)、M&Aによる創業者のエグジットまで、適切かつ迅速な法律サポートの提供が可能です。
4種類の顧問契約プランを展開している
伊藤海法律事務所は、クライアント様のご希望や成長ステージに合った過不足のないサポートが提供できるよう、次の4種類の顧問契約プランを展開しています。
- スタンダードプラン:比較的小規模な中小企業や創業間もないベンチャーからアーリーステージにある企業、スモールビジネス、フリーランス、個人事業主などを想定したリーズナブルなプラン
- リーガルプラン:一般的な中小企業からメガベンチャー、ミドル~レイター期、N-2フェーズ頃の上場準備企業などを想定したプラン
- コーポレートプラン:上場企業や資金調達やM&A、DDなどに伴う業務が想定される企業、取締役会・臨時株主総会が多く想定され相応の稼働時間を確保する必要のある企業を想定したプラン
- 包括的法務受託:実質的な法務部として稼働するプラン
また、顧問契約をいただいたクライアント様はメールや電話のほか、LINEやChatwork、Slackなどによるコンタクトも可能となります。さらに、弁護士を法務部チャットに追加いただくことも可能となるため、よりスピーディーな対応が提供できます。
代表は弁護士のほかに、弁理士資格も有している
伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに弁理士資格も有しています。弁理士とは、知財を専門とする国家資格です。
そのため、知財の保護から知財侵害時の対応に至るまで、一貫したサポートが提供できます。
英文契約書にも対応している
伊藤海法律事務所は、英文契約書にも対応しています。そのため、海外の個人や企業と契約を締結するべき場面においても、一貫したサポートが可能です。
薬機法に関する伊藤海法律事務所の主な実績
伊藤海法律事務所は、薬機法に関して豊富なサポート実績を有しています。ここでは、当事務所の主なサポート実績を3つ紹介します。
承認外医薬品を輸入し販売するスキームを合法的に構築
輸入した承認外医薬品をそのまま医薬品として販売すれば、薬機法に違反することとなるでしょう。当事務所は想定されるビジネスモデルや販売の目的などを入念にヒアリングしたうえで、承認外医薬品を輸入し販売する合法的なスキームを構築し、提供しました。
薬機法に抵触する可能性のあるビジネスモデルを医療法人を統合することで合法化
そのまま実施すれば薬機法に抵触する可能性のあるビジネスモデルについてご相談いただき、当事務所が医療法人の統合を提案しました。
この件では、医療法人を統合することでスキームが合法となり、薬機法に抵触することなくビジネス展開が可能となっています。
薬機法における広告規制のリーガルチェック多数
広告を出稿する際は、薬機法68条に抵触しないよう注意しなければなりません。先ほど解説したように、広告規制の対象は「何人も」であることから、医薬品等の取り扱いがない企業であっても注意すべきでしょう。
当事務所では、広告規制のリーガルチェックについても豊富な実績を有しています。
薬機法55条2項に関するよくある質問
最後に、薬機法55条2項に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
薬機法55条2項の規制対象者は誰?
薬機法55条2項の規制対象者は、すべての人です。
条文上に「何人も」などの表記はないものの、個人であるか法人であるかなどを問わず、無承認無許可医薬品等の販売・授与・貯蔵・陳列をすれば誰でも罪に問われる可能性があります。
薬機法55条2項に関する相談は誰にすべき?
薬機法55条2項に関する相談先には、薬機法やスタートアップ法務に力を入れている弁護士がおすすめです。
薬機法に違反しないためのビジネスモデルチェックをご希望の際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
まとめ
薬機法55条2項の概要や薬機法55条2項に違反した場合の罰則、薬機法55条2項に違反しないための対策などを解説しました。
薬機法55条2項とは、無承認無許可医薬品等の販売・授与・貯蔵・陳列を禁止する規定です。この規定に違反すると、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科(法人の場合は、さらに1億円以下の罰金刑)に処される可能性があります。
薬機法55条2項の規定に違反しないためには、新たなビジネスを始める前に弁護士にご相談ください。弁護士に相談することでビジネスモデルのリスクが抽出でき、知らずに違反する事態を避けやすくなります。
伊藤海法律事務所はクリニックのリーガルサポート、医療法務、薬事法務、薬事関連の広告法務に特化しており、薬機法などに違反しないためのビジネスモデルチェックや薬機法違反を避けるビジネスモデルの提案などのサポートが可能です。薬機法55条2項に違反する事態を避けたい場合には、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。



