生成AIの発達により、Illustratorなどのソフトウェアを使用せずに、ロゴマークなどが容易に作成できるようになりました。ロゴマークは、自社の商品・サービスを他社の商品・サービスと区別するものです。そのため、長く使っていく予定のロゴであれば、商標登録を検討することになるでしょう。

では、生成AIを用いて作成したロゴは、商標権を得られるのでしょうか?また、生成AIでロゴを作成する際は、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

今回は、生成AIを使って作成したロゴの商標登録や商標登録を受ける要件、生成AIでロゴを生成する際の注意点などについてくわしく解説します。

なお、当事務所(伊藤海法律事務所)の代表は弁護士弁理士のダブルライセンスですので、ロゴの商標登録出願から商標権が侵害された際の対応に至るまで、一事務所貫徹にて一貫したサポートが提供できます。生成AIで作成したロゴの商標登録をご希望の際や、商標権が侵害されてお困りの際などには、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

商標権の基本

はじめに、商標権の基本について解説します。

商標とは?

商標とは、人の知覚によって認識できるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状もしくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(「標章」といいます)であり、商品やサービスについて用いられるものを指します(商標法2条1項)。

企業のネーミングやロゴマークだけではなく、次の商標などが存在します。

  • 文字商標:文字のみからなる商標
  • 図形商標:写実的なものから図案化したものや、幾何学的模様などの図形のみから構成される商標
  • 記号商標:のれん記号や文字を図案化し組み合わせた記号などからなる商標
  • 立体商標:立体的形状からなる商標(例:カーネルサンダース人形)
  • 結合商標:異なる意味合いを持つ複数の文字を組み合わせた商標、文字・図形・記号・立体的形状の2つ以上を組み合わせた商標
  • 音商標:音楽や音声、自然音などからなる商標(例:CMで流れるサウンドロゴ)
  • 色彩のみからなる商標:単色または複数の色彩の組合せのみからなる商標であり、輪郭なく使用できるもの(ファミリーマートの看板の配色など)
  • ホログラム商標:文字や図形等がホログラフィーなどの方法で変化する商標
  • 位置商標:図形などを商品などに付す位置が特定される商標
  • 動き商標:文字や図形などが時間の経過に伴って変化する商標

このように、消費者などに「あの企業の商品(サービス)だ」と知覚させるものが、広く商標に該当します。

商標権とは?

商標権は、ロゴなどを作成したことや使用していることなどをもって自動的に発生するものではありません。商標について商標権を発生させるには、特許庁に出願して登録を受ける必要があります。

商標登録は、45に区分された商品・サービスの中から、登録を受けたい区分(つまり、「その分野において似たロゴを使われては困る」商品・サービスの区分)を選んで出願します。

複数の区分を選択することもでき、すべての区分への出願もできるものの、選択する区分が多ければそれだけ出願手数料や登録料が高くなります。そのため、必要な区分に絞って出願することが一般的です。

なお、伊藤海法律事務所は代表である伊藤海が弁理士資格も有していることから、商標出願の代理も可能です。生成AIで作成したロゴの商標出願をご希望の際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

商標登録を受ける要件

商標登録は、出願したからといって必ず受けられるわけではありません。商標登録を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。

ここでは、商標登録を受ける主な要件を解説します。

  • 自己と他人の商品・役務を区別できること
  • 公益性に反するものでないこと
  • 他人の登録商標または周知・著名商標等と紛らわしいものでないこと

参照元:出願しても登録にならない商標(特許庁)

自己と他人の商品・役務を区別できること

1つ目は、自己と他人の商品・役務(サービス)を区別できることです。次のものなどは自己と他人の商品・役務を区別できないため、商標登録を受けられません。

  • 商品または役務の普通名称のみを表示する商標(指定商品「アルミニウム」に使用する商標として、「アルミ」を出願した場合など)
  • 商品・役務について慣用されている商標(指定商品「清酒」に使用する商標として、「正宗」を出願した場合など)
  • 商品の産地・販売地・品質、役務の提供場所・質などのみを表示する商標(指定商品「シャツ」に使用する商標として「特別仕立」を出願した場合や、指定商品「菓子」に使用する商標として「東京」を出願した場合など)
  • ありふれた氏又は名称のみを表示する商標(「山田」、「スズキ」、「WATANABE」、「田中屋」を出願した場合など)
  • 極めて簡単かつありふれた標章のみからなる商標(仮名文字の1字を出願した場合など)
  • その他、何人の業務に係る商品・役務であるかを認識できない商標

公益性に反するものでないこと

2つ目は、公益性に反しないことです。次のものなどは公益性に反するため、商標登録を受けられません。

  • 国旗、菊花紋章、勲章または外国の国旗と同一または類似の商標
  • 外国、国際機関の紋章、標章などであって経済産業大臣が指定するもの、白地赤十字の標章、赤十字の名称と同一または類似の商標など
  • 国、地方公共団体などを表示する著名な標章と同一または類似の商標
  • 公の秩序や善良な風俗を害するおそれがある商標
  • 商品の品質または役務の質の誤認を生じさせるおそれのある商標(指定商品「ビール」に使用する商標として「〇〇ウイスキー」を出願した場合など)

他人の登録商標または周知・著名商標等と紛らわしいものでないこと

3つ目は、他人の登録商標または周知・著名商標等と紛らわしいものでないことです。次のものなどはこの要件を満たさないため、出願しても商標登録が受けられません。

  • 他人の氏名、名称または著名な芸名、略称等を含む商標
  • 他人の周知商標と同一または類似の商標であって、同一または類似の商品・役務に使用するもの
  • 他人の登録商標と同一または類似の商標であって、指定商品・役務と同一または類似のもの
  • 他人の業務に係る商品または役務と混同を生ずるおそれのある商標
  • 他人の周知商標と同一または類似で、不正の目的をもって使用する商標

つまり、すでに同じ商品・サービスについて似た商標が他者によって使われている場合や他者に商標登録されている場合には、商標登録を取得できないということです。また、他者の商標と紛らわしいロゴの使用を継続すれば、商標権侵害であるとして差止請求や損害賠償請求などがなされる可能性も生じます。

生成AIで作成したロゴは商標登録できる?

生成AIで作成したロゴであることを理由に、商標登録ができなくなることはありません。先ほど解説した要件を満たせば、作成の過程などを問わず商標登録が受けられます。

この点は、2025年6月13日に公表された特許庁の「産業構造審議会知的財産分科会 第12回商標制度小委員会」の資料でも、「AI生成物を含む商標について出願・権利行使する場合であっても、原則として、従来の商標登録出願や商標権と同様に扱われる」と整理され、明記されています。

そもそも、商標法は創作物を保護する法律ではなく、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」を目的とするものであるためです(商標法1条)。そのため、著作権などとは異なり、ロゴの生成における人間の関与度合いや創作性の有無は商標登録を受けられるか否かに影響しません。

生成AIでロゴを生成する際の注意点

生成AIを使ってロゴを生成する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?ここでは、主な注意点を3つ紹介します。

  • 自社に相応しいロゴであるか否か人間の目で確認する
  • 商標調査を徹底する
  • 使用する前に専門家に相談する

自社に相応しいロゴであるか否か人間の目で確認する

生成AIを利用することでロゴの作成は容易になったものの、使用するロゴの選定は、引き続き人間の手に委ねられます。むしろ、生成AIでは作成段階におけるプロのクリエイターとの入念な打ち合わせのステップを省くため、出力されたロゴが自社のイメージに合っているか否かより慎重に検討する必要があるでしょう。

いくらスタイリッシュであっても、生成AIが出力したロゴが自社のイメージに合っていなければ、ユーザーによるイメージの乖離が生じかねません。そのため、生成AIでロゴを出力したら、そのロゴが自社のイメージや目指すべき未来、取り扱っている商品・サービスに相応しいか否か入念に確認することをおすすめします。

商標調査を徹底する

生成AIはその性質上、インターネット上にある他のロゴマークなどを参照してロゴを出力しています。そのため、自社があえて似せようと意図していなかったとしても、他者のロゴマークと似たロゴが出力される可能性があるでしょう。

しかし、「知らなかった」からといって、商標権侵害による損害賠償責任などが免責されるわけではありません。そのような事態を避けるため、実際にそのロゴの使用を開始する前に、似たロゴマークが既に他者によって使用されていないかどうか、また似たロゴマークが既に商標登録されていないかどうかの調査(「商標調査」といいます)を徹底すべきでしょう。

使用する前に専門家に相談する

生成AIでロゴマークを出力したら、実際に使用を開始する前に、専門家に相談することをおすすめします。商標のプロである弁理士に相談することで、思わぬ商標権侵害を避けやすくなるためです。

また、そのロゴを長く使っていきたいのであれば、商標登録を行うべきでしょう。弁理士に相談することで、そのロゴの商標登録の可能性を知ることができるほか、商標出願の手続きを任せることも可能となります。

なお、伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士・弁理士のダブルライセンスです。生成AIで作成したロゴについて、商標出願から商標調査、商標権が侵害された際の対応などまでトータルで任せられる専門家をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

生成AIと商標権について相談できる弁護士をお探しの際は伊藤海法律事務所へご相談ください

生成AIと商標権について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

  • 代表は弁護士・弁理士のダブルライセンスである
  • カルチャー・エンタメ・テクノロジー法務に強い
  • 多様な顧問プランを設けている
  • 英文契約書にも対応している

代表は弁護士資格のほか、弁理士資格も有している

伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士資格のほかに弁理士資格も有しています。そのため、商標出願から商標権侵害時の法的措置に至るまで、総合的なサポートが提供できます。

カルチャー・エンタメ・テクノロジー法務に強い

伊藤海法律事務所は、カルチャー・エンタメ・テクノロジー法務に特化しています。生成AIの動向や関連する法令・ガイドラインについても日々アンテナを張っており、最新情報をもとにした的確なサポートが提供できます。

多様な顧問プランを設けている

伊藤海法律事務所では、フリーランスから上場企業まで過不足のないサポートが提供できるよう、4種類の顧問プランを設けています。

  • スタンダードプラン:フリーランスや個人事業主、比較的小規模な中小企業などを想定したプラン
  • リーガルプラン:一般的な中小企業やメガベンチャーなどを想定したプラン
  • コーポレートプラン:上場企業などを想定したプラン
  • 包括的法務受託:当事務所が実質的な法務部として稼働するプラン

顧問契約をいただくことで、案件が集中しやすい時期であっても優先的な対応が実現できます。また、顧問契約をいただいたクライアント様は弁護士を法務部のグループチャットに追加いただくことも可能となり、よりスピーディかつスムーズなやり取りが可能となります。

英文契約書にも対応している

伊藤海法律事務所は、英文契約書にも対応しています。そのため、海外の企業や個人と契約すべき場面においても、一貫したリーガルサポートが提供できます。

生成AIと商標権に関する伊藤海法律事務所の主な解決実績

伊藤海法律事務所は、生成AIや商標権について豊富なサポート実績を有しています。ここでは、当事務所の主なサポート事例を2つ紹介します。

生成AIで作成したロゴを商標出願(現在結果待ち)

先ほど解説したように、生成AIで作成したロゴであるからといって商標登録出願ができないわけではありません。

当事務所では、実際に生成AIで作成したロゴを商標出願した実績があります。

生成AI作成ロゴ特有の商標調査を実施

生成AIでロゴを作成する場合、類似する商標がすでに登録されていないか否か、慎重に調査する必要があります。調査が甘ければ出願をしたところで登録が受けられないほか、すでに類似したロゴを使用している他社から商標権侵害で訴えられるかもしれません。

当事務所では、生成AIで作成をしたロゴに特化した商標調査を実施するなど、他社の商標権を侵害しない対策のサポートをした実績があります。

生成AIと商標権に関するよくある質問

最後に、生成AIと商標権に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

生成AIで作成したロゴが他者の商標権を侵害するとどうなる?

生成AIで作成したロゴが他者の商標権を侵害するものである場合、商標登録出願をしても商標権を得ることができません。

また、そのロゴを自社の商品やサービスに使用した場合、商標権者である他社から商標の使用差し止めを求められたり、損害賠償請求をされたりする可能性があるでしょう。

商標権侵害であると知ってもなおそのロゴの使用を続けた場合には、刑事罰(10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科。法人の業務の一環で違反した場合には、別途法人に対して3億円以下の罰金刑)の対象ともなり得ます(商標法78条、82条1項)。

生成AIで生成したロゴの商標登録は誰に相談すればよい?

生成AIで作成したロゴの商標登録の相談先は、弁理士が適任です。

なお、伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに弁理士資格も有しています。そのため、商標登録のサポートも可能です。

まとめ

商標権の概要や生成AIで作成したロゴが商標登録できるか否か、商標登録の要件、生成AIでロゴを作成する際の注意点などについて解説しました。

商標権とは、商標を保護する権利です。商標について商標出願を行い、特許庁への登録を受けることで、商標権が得られます。

商標権は、自社の商品・サービスと他社の商品・サービスを的確に区分するために設けられている制度であり、商標登録を受けるにあたって人間の創作性などは加味されません。そのため、生成AIで作成したロゴであっても、他の要件を満たせば商標登録を受けられます。

生成AIで作成したロゴを使用する際は、他社の商標権を侵害しないよう商標調査を徹底する必要があるでしょう。また、自社のイメージに合うものであるか否か、慎重に検討した上でロゴを選定することをおすすめします。

伊藤海法律事務所はカルチャー・エンタメ・テクノロジー法務に特化しており、生成AIで作成したロゴの商標出願についてのサポートも可能です。生成AIや商標権について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください。