ゲーム開発会社が知っておくべき法律は、非常に多岐にわたります。法律を正しく理解しておかなければ、思わぬ違反やトラブルの原因となるかもしれません。
では、ゲーム開発会社が知っておくべき法律には、どのようなものがあるのでしょうか?また、ゲーム開発会社が法律トラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?今回は、ゲーム開発会社が知っておくべき法律を紹介するとともに、ゲーム開発会社に生じやすいトラブルやトラブルの予防策などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、ゲーム開発会社についても豊富なサポート実績を有しています。法律面でのサポートを依頼できる実績豊富な弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
ゲーム開発会社が知っておきたい主な法律
はじめに、ゲーム開発会社が知っておくべき主な法律を紹介します。
- 民法
- 著作権法
- 商標法
- 景表法
- 資金決済法
- 特定商取引法
- 消費者契約法
- 電気通信事業法
- 個人情報保護法
- フリーランス保護法
民法
民法は、ゲーム開発会社と消費者など、「私人」同士の権利義務関係や契約などの基本ルールを定めた法律です。他の法律や契約などに規定のない事項は原則として民法をもとに判断されるため、すべての人や企業は民法を避けて通ることはできません。
たとえば、未成年者が親権者の同意なく締結した契約は取消しの原因となりますが、これは民法の規定によるものです。
著作権法
著作権法とは、著作権の保護などを定めた法律です。著作権の対象である「著作物」は多岐にわたり、ゲーム音楽やキャラクターデザイン、グラフィック、プログラムなどは、原則としてすべて著作物に該当します。
著作権は商標権などとは異なり、登録などを経ることなく、創作時点で自動的に発生するためです。ゲームはあらゆる著作物の束であるため、権利関係を正しく処理するためには著作権法への理解が不可欠でしょう。
商標法
商法法とは、商標権の保護などを定めた法律です。商標権とは商品やサービスを表す標章を保護する権利であり、ゲームタイトルやゲームのロゴなどがこれに該当します。
商標権を発生させるには、特許庁に出願をして登録を受けなければなりません。類似品のリリースを避けるには、商標法について正しく理解したうえで、必要に応じて商標出願を検討する必要があるでしょう。
景表法
景表法は、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、不相当に高額な景品類の提供や不当表示などを規制する法律です。
不当表示の面では、広告などをする際に実際よりも著しく優良・有利であると消費者に誤認させる表示をしてはなりません。このような表示をすれば措置命令などの対象となるほか、課徴金納付命令の対象となったり罰則の適用対象となったりするおそれが生じます。
また、景品類の提供の面では、特に「ガチャ」を設計する際に注意が必要です。いわゆる「コンプガチャ」や「カード合わせ」などは原則として景表法違反に該当するため、いわゆる「ガチャ」などを設計する際は事前に弁護士に相談することをおすすめします。
資金決済法
資金決済法とは、電子マネーや暗号資産など新たな決済手段や資金移動などを規制する法律です。たとえば、事前に一定額を払い込んでゲーム内の通貨に「換金」し、そのゲーム内通貨で消費者がアイテムなどを購入する設計(前払式支払手段)をする際などには、資金決済法の規制対象となります。
資金決済法の規制対象となる場合には、一定事項の表示義務や、前払式支払手段の未使用残高が一定額を超える場合の供託義務などの対象となります。
特定商取引法
特定商取引法とは、特にトラブルが生じやすい通信販売など一定類型の取引について、規制をする法律です。オンラインゲームへの「課金」などは、原則としてこの特定商取引上の通信販売に該当します。そのため、特定商取引法に基づいて一定事項の表示などをしなければなりません。
消費者契約法
消費者契約法とは、事業者と消費者の間に情報量や交渉力の格差があることを踏まえ、消費者を保護することを目的とする法律です。ゲームの利用規約に消費者が一方的に不利となる条項を設けた場合、消費者契約法の規定によりその条項が無効となる可能性があります。
電気通信事業法
電気通信事業法とは、電気通信事業に該当する一定の事業を行う事業者に対し、登録や届出などを求める法律です。ゲーム内にユーザー同士のダイレクトメールやチャット機能などを実装する場合、電気通信事業法に基づく届出などが必要となる可能性があります。
個人情報保護法
個人情報保護法とは、個人情報の有用性に配慮しつつ個人情報を保護することを目的とする法律です。オンラインゲームを展開するにあたってはゲーム会社側がユーザーの個人情報を保有することが多いため、その情報を個人情報保護法に基づいて適切に管理すべきほか、「プライバシーポリシー」の公表などが必要となります。
フリーランス保護法
フリーランス保護法は正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といい、個人事業主や役員1名のみの会社である「フリーランス」を保護するための法律です。
ゲーム開発にあたっては、開発の一部をフリーランスなどに委託する場合も多いでしょう。そのような場合には、フリーランス保護法を理解したうえで適切な対応をする必要があります。
ゲーム開発会社に生じやすい主な法律トラブル
ゲーム開発会社に生じやすいトラブルとしては、どのようなものが挙げられるのでしょうか?ここでは、主なトラブルを4つ解説します。
- 知的財産権侵害にまつわるトラブル
- 開発委託契約にまつわるトラブル
- 景表法違反にまつわるトラブル
- 未成年者の課金にまつわるトラブル
なお、伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、ゲーム開発会社へのサポート実績も豊富です。ここで紹介するようなトラブルが生じてお困りの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。
知的財産権侵害にまつわるトラブル
1つ目は、知的財産権侵害にまつわるトラブルです。
たとえば、開発したゲームのシステムやグラフィック、音楽などが他者の著作権などを侵害しているとして差し止めを求められることなどがこれに該当します。反対に、自社が開発したゲームの知的財産権が他者により侵害されることもあるでしょう。
また、ゲーム開発に携わった従業員や外部委託をしたフリーランスなどとの間で、知的財産権の帰属に関してトラブルとなる場合もあります。
開発委託契約にまつわるトラブル
2つ目は、開発委託契約に関するトラブルです。
ゲーム開発は、開発の全部または一部について、他の企業やフリーランスなどに委託することも多いでしょう。その際には開発委託契約を締結することとなるものの、その契約に関してトラブルに発展することがあります。
たとえば、修正対応について追加報酬が発生するか否かの齟齬に関するトラブルや、納期遅延の原因が発注者側の仕様変更にあるのか受託者側のスケジュール管理の甘さによるものであるのかの齟齬に関するトラブルなどが想定されます。
景表法違反にまつわるトラブル
3つ目は、景表法違反にまつわるトラブルです。
先ほど解説したように、ゲーム開発にあたっては景表法に違反しないよう注意しなければなりません。リーガルチェックが甘く景表法に違反するゲームをリリースしてしまえば、景表法による罰則や行政指導などの対象となり得るほか、企業イメージの毀損につながるおそれもあるでしょう。
未成年者の課金にまつわるトラブル
4つ目は、未成年者の課金にまつわるトラブルです。
先ほど解説したように、親権者の同意を得ずに行われた未成年者の法律行為は、取消しの原因となります。しかし、対面での契約であればともかく、オンラインゲームなど遠隔で行われることの多い「課金」では、相手が未成年者であるか否かをゲーム会社側が正確に確認することは困難です。
実際には未成年であるにもかかわらず、未成年者側が安易に「18歳以上である」などの年齢確認ボタンを押すことで「課金」を行うケースも少なくないでしょう。
原則として、未成年者側が相手を誤信させるために成人であると偽った場合には、契約を取り消すことはできません。とはいえ、過度な課金をさせたなどゲーム会社側にも問題があると判断されれば、返金が必要となることもあります。
また、オンラインゲームへの未成年者の過度な課金が社会問題となっている状況では、ゲーム会社側が頑なに返金を拒めば会社のイメージが失墜するおそれもあるでしょう。
そのため、会社側としては、未成年者であることを理由に返金を求められた場合の対応方針や対応ルールを定めておくなどの備えが必要となります。
ゲーム開発会社が法律トラブルを避ける対策
ゲーム開発会社が法律トラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、主な対策を2つ解説します。
- 関連する法令やガイドラインを正しく理解する
- ゲーム業界にくわしい弁護士と顧問契約を締結する
関連する法令やガイドラインを正しく理解する
ゲーム開発会社が法律トラブルを避ける対策の第1歩目は、関連する法令やガイドラインを正しく理解することです。これらを正しく理解することで、望ましい対応や避けるべき対応を把握しやすくなるでしょう。
ゲーム業界にくわしい弁護士と顧問契約を締結する
関連する法令やガイドラインを理解しようにも、これを自社だけで正確に読み解くのは容易ではないでしょう。また、特に法令の規定は一般化された記載となっているため、「自社の対応に問題があるか否か」まで判断しづらい場合もあります。
そこで、ゲーム業界にくわしい弁護士と顧問契約を締結することをおすすめします。弁護士と顧問契約を締結することで、弁護士を自社の法務面での「頭脳」として活用することが可能となり、思わぬ法律トラブルを避けやすくなります。
ゲーム業界に特化した弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
ゲーム開発会社が弁護士に法律面のサポートを依頼する主なメリット
ゲーム開発会社が弁護士に法律面でのサポートを依頼するメリットは、小さいものではありません。ここでは、主なメリットを4つ解説します。
- 思わぬ違反やトラブルを避けられる
- トラブルから「逆算」をした契約書の作成でトラブル予防やスムーズなトラブル解決が可能となる
- ゲーム開発により自信を持って取り組みやすくなる
- 法令遵守のための手間や負担を軽減できる
思わぬ違反やトラブルを避けられる
メリットの1つ目は、思わぬ法律違反やトラブルを避けやすくなることです。
弁護士にサポートを依頼することで、万が一自社の開発するゲームに法律上の問題があった際、リリース前にこれに気付きやすくなります。その結果、思わぬ法律違反やトラブルを避けやすくなるでしょう。
トラブルから「逆算」をした契約書の作成でトラブル予防やスムーズなトラブル解決が可能となる
メリットの2つ目は、トラブル予防やスムーズなトラブル解決が可能となることです。
弁護士は、法律にまつわるトラブルが生じてから介入することも少なくありません。その際に、たとえば「開発委託契約書にこのような条項があれば、このようなトラブルは起きなかったのに」「開発委託契約書にこのような条項が入っていれば、スムーズに解決できたのに」などと残念に思うこともあります。
弁護士に契約書の作成やレビューを依頼することで、実際にトラブル事例から「逆算」をした条項の検討が可能となります。これにより、トラブルの予防や、万が一トラブルが発生した際のスムーズな解決が可能となるでしょう。
ゲーム開発により自信を持って取り組みやすくなる
メリットの3つ目は、ゲーム開発により自信を持って取り組みやすくなることです。
ゲーム開発をする中で、そのゲームの設計やリリースの方法などに法律上の問題がないか否か不安に感じることもあるでしょう。事前に弁護士に相談することでこのような不安が払拭でき、自信を持ってゲーム開発に注力しやすくなります。
法令遵守のための手間や負担を軽減できる
メリットの4つ目は、法令遵守のための手間や負担を軽減できることです。
ゲームの開発やリリースにあたっては、その内容に応じて「特定商取引法に基づく表示」「資金決済法に基づく表示」「プライバシーポリシー」などを作成する必要があります。また、消費者との契約にあたる利用規約なども作成しなければなりません。しかし、これらを自社だけで適正に作成するのは容易ではないでしょう。
弁護士にはこれらの作成についてのサポートも依頼できるため、法令遵守のための手間や負担の軽減が可能となります。
ゲーム開発の法律にまつわるよくある質問
続いて、ゲーム開発の法律にまつわるよくある質問とその回答を2つ紹介します。
ゲーム開発の法律サポートはどの弁護士に依頼しても同じ?
ゲーム開発の法律サポート内容は、依頼する弁護士によって異なる可能性があります。
ゲーム開発はやや特殊な業界であり、弁護士によっても得意・不得意が分かれやすい分野です。そのため、ゲーム開発会社へのサポート実績が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
ゲーム開発で生じやすい法律トラブルは?
ゲーム開発で生じやすい法律トラブルとしては、知的財産権にまつわるトラブルや開発委託契約にまつわるトラブルなどが挙げられます。
これらのトラブルは契約書を作り込むなど事前の対策で防げることも多いため、契約段階から弁護士にご相談ください。
ゲーム開発に関して相談できる弁護士をお探しの際は伊藤海法律事務所へご連絡ください
ゲーム開発に関して相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所へお問い合わせください。最後に、当事務所の主な特長を5つ紹介します。
- カルチャー・エンターテイメント法務に特化している
- 代表は弁理士でもあり知財に強い
- 4種類の顧問契約プランを用意している
- 英文契約書にも対応している
- 弁護士への連絡手段が豊富にある
カルチャー・エンターテイメント法務に特化している
伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、アプリ開発会社やゲーム制作会社に対する豊富なサポート実績を有しています。
「開発業務委託契約書のチェックをしてほしい」「ゲーム・アプリの利用規約、プライバシーポリシーを作ってほしい」などのほか、「構想中のアプリが法的に問題ないかチェックしてほしい」「ゲーム×NFTビジネスを考えたので、ビジネスモデルをチェックしてほしい」などのご要望への対応も可能です。
代表は弁理士でもあり知財に強い
伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに弁理士資格も有しています。そのため、ゲーム開発会社において不可欠である知財の保護や侵害時の対応、契約による権利処理などについても的確なサポートが提供できます。
4種類の顧問契約プランを用意している
伊藤海法律事務所では、さまざまな規模・ステージの企業に対応できるよう、4種類の顧問契約プランを設けています。
| プラン | 概要 |
| スタンダードプラン | 個人事業主やフリーランス、比較的小規模な中小企業、創業間もないベンチャーからアーリーステージ、スモールビジネスなどを想定したプラン |
| リーガルプラン | 一般的な中小企業からメガベンチャーなどを想定したプラン |
| コーポレートプラン | 上場企業などを想定したプラン |
| 包括的法務受託 | 実質的な法務部として稼働するプラン |
そのため、弁護士に任せたい業務のボリュームなどに応じ、過不足のないプランを選択できます。
英文契約書にも対応している
ゲーム開発会社では、海外の個人や企業などと契約を締結すべき場面もあるでしょう。伊藤海法律事務所は英文契約書にも対応しているため、海外との契約についても一貫したリーガルサポートが提供できます。
弁護士への連絡手段が豊富にある
伊藤海法律事務所は、電話やメールのほか、LINEやChatwork、Slackなどさまざまな連絡手段に対応しています。また、顧問契約を締結いただいた場合には、法務部のグループチャットに弁護士を追加いただくことも可能となります。
ま11
ゲーム開発会社が知っておくべき主な法律を紹介するとともに、ゲーム開発会社に生じやすいトラブルやトラブルの予防策などを解説しました。
ゲーム開発会社が知っておくべき法律は非常に多岐にわたり、法律を正しく理解していないことは思わぬ違反やトラブルなどの原因となります。とはいえ、自社だけですべての法律やガイドラインを理解するのは容易ではありません。
そこでおすすめなのが、ゲーム業界に特化した弁護士と顧問契約を締結することです。弁護士と顧問契約を締結することで、弁護士を自社の法務分の「頭脳」として活用することが可能となり、ゲーム開発に注力しやすくなるでしょう。
伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、ゲーム開発会社についても豊富なサポート実績を有しています。ゲーム開発にあたって法律面でのサポートをご希望の際は、伊藤海法律事務所までまずはお気軽にお問い合わせください。



