パブリシティ権に関する重要な判例の1つに「ピンク・レディー事件」があります。

ピンク・レディー事件とはどのような事件なのでしょうか?また、パブリシティ権が侵害されている可能性がある場合、どのような流れで対処すればよいのでしょうか?

今回は、ピンク・レディー事件の概要やピンク・レディー事件で基準が示されたパブリシティ権の概要、パブリシティ権が侵害された場合の対応の流れなどについて弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、パブリシティ権が侵害された場合の対応やパブリシティ権の侵害を疑われた場合の対応などについて豊富なサポート実績を有しています。ピンク・レディー事件で確立されたパブリシティ権について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までまずはお気軽にお問い合わせください。

▼この記事のポイント

  • ピンク・レディー事件とは、ピンク・レディーの肖像が無断で雑誌に掲載されたことを受けてピンク・レディー側がパブリシティ権侵害を主張した事件
  • ピンク・レディー事件では、最高裁により初めてパブリシティ権侵害の判断基準が示された
  • パブリシティ権とは、著名人が有する「顧客吸引力」から得られる経済的利益を独占的に得る権利
  • パブリシティ権が侵害されたら、まずは証拠を残したうえで早期に弁護士に相談するのがおすすめ

ピンク・レディー事件の概要

ピンク・レディー事件とは、著名なアイドルユニットである「ピンク・レディー」を被写体とする14枚の写真が、「ピンク・レディーdeダイエット」と称する女性週刊誌の特集記事に無断で掲載されたことを発端とする事件です。これを受け、ピンク・レディーの2人がパブリシティ権の侵害であるとして1人あたり約186万円(計約372万円)の損害賠償を請求しました。

この事件の判決では、最終的にパブリシティ権の侵害にはあたらないとされ、損害賠償請求は認められていません(最高裁平成24年2月2日判決)。しかし、判決内で初めてパブリシティ権の意義や判断基準を明確にしており、この点で非常に重要な判決に位置づけられています。

ピンク・レディー事件で初めて基準が示された「パブリシティ権」とは?

ピンク・レディー事件で基準が示された「パブリシティ権」とは、著名人の有する顧客吸引力から得られる経済的利益を独占的に得る権利です。

「顧客吸引力」とは、顧客に「この人がCMに出ているなら信頼できる商品・サービスだろう」や「この人が使っている商品・サービスなら私も使ってみよう」などと感じさせる力を指します。顧客吸引力を期待するからこそ、多くの企業が対価を支払って著名人を自社の広告に起用しているのでしょう。

このパブリシティ権は法令に直接的な根拠があるのではなく、ピンク・レディー事件以前には、多数の下級審裁判例で認められてきたに過ぎませんでした。ピンク・レディー事件でパブリシティ権について初めて最高裁が判示したことで、より確固たる権利となっています。

なお、ピンク・レディー事件の判決の当時パブリシティ権の対象として念頭に置かれていたのは、著名人の氏名と肖像でした。しかし、近年ではAIの発展により、声優や俳優などの声が無断で使用されるケースが散見されます。このような事態を受け、パブリシティ権の対象を「声」にまで広げる動きが加速しています。

実際に、声優の津田健次郎氏がナレーションをしているように聞こえる動画が無断でTikTokに投稿されたことを受け、津田氏側がパブリシティ権の侵害を主張し提訴する事件も発生しました。

伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、パブリシティ権や「声の権利」が侵害された際の対応についても豊富な実績を有しています。また、新たな概念である「声格権(音声人格権)」を提唱しており、声の権利保護にも力を入れています。

肖像や氏名、声などが無断で使用されてお困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

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ピンク・レディー事件の判決によるパブリシティ権侵害の判断基準

ピンク・レディー事件では、パブリシティ権の侵害は「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」に発生するとの判断基準が示されました。また、これには3つの類型があるとされています。

  1. 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
  2. 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合
  3. 肖像等を商品等の広告として使用する場合

近年においても、これらがパブリシティ権の侵害の有無を判断する際の重要な基準とされています。

なお、ピンク・レディー事件における肖像の無断使用はこれらのいずれにも該当せず、パブリシティ権の侵害にはあたらないとの判決が下されました。

とはいえ、パブリシティ権の侵害の有無を的確に判断するのは容易ではありません。そのため、肖像や氏名、声などが無断で使用されている可能性がある場合には、まず弁護士に相談するとよいでしょう。お困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

パブリシティ権が侵害された場合の対応の流れ

パブリシティ権が侵害されている可能性がある場合には、まずその証拠を残したうえで弁護士に相談するのがおすすめです。ここでは、パブリシティ権が侵害された場合における一般的な対応の流れを解説します。

  • パブリシティ権侵害の証拠を残す
  • 弁護士に相談する
  • 差止請求を行う
  • 損害賠償請求をする

パブリシティ権侵害の証拠を残す

パブリシティ権が侵害されている可能性がある場合、まずはその証拠を残します。

侵害行為がインターネット上でなされた場合には、スクリーンショットを撮影したり別のデバイスで画面を撮影したりすることが一般的です。この際、問題の投稿のURLがわかるように撮影しましょう。

弁護士に相談する

パブリシティ権侵害の証拠を残したら、弁護士に相談します。相談先には、パブリシティ権侵害に関する対応実績が豊富な事務所を選ぶのがおすすめです。このような弁護士に相談することでそのケースにおける法的措置の可否などの見通しが立てられ、その後の具体的な対処法の検討が可能となるでしょう。

パブリシティ権の侵害でお困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。当事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、パブリシティ権が侵害された場合の対応についても豊富な実績を有しています。

差止請求を行う

パブリシティ権の侵害がある場合には、相手方に差止請求を行います。差止請求とは、侵害行為をやめるよう相手方に求めるものです。

差止請求は、弁護士から内容証明郵便を送るなどして行うことが一般的です。内容証明郵便とは「いつ、いかなる内容の郵便が誰から誰に送付されたか」を日本郵便株式会社が証明するサービスであり、「請求した・されていない」の食い違いを避ける効果が得られます。

また、相手方にプレッシャーを与える効果も期待できるでしょう。内容証明郵便で弁護士から何らかの請求がされたにもかかわらず、何らの対応もしなければ、訴訟など次のステップに移行する可能性が高いためです。

損害賠償請求をする

パブリシティ権の侵害によって損害が発生している場合には、差止請求と併せて損害賠償請求も行います。損害賠償請求とは、相手方の不法行為(ここでは、パブリシティ権の侵害)によって被った損害を金銭の支払いで償うよう、相手方に求めるものです。

損害賠償の適正額はパブリシティ権の侵害の具体的な態様や内容などによって異なります。そのため、まずは弁護士に相談したうえで、そのケースにおける損害賠償の適正額を把握するとよいでしょう。

お困りの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。

パブリシティ権に関して相談できる弁護士なら伊藤海法律事務所へご相談ください

パブリシティ権に関して相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

  • カルチャー・エンターテイメント法務に特化している
  • 代表は弁理士でもあり知財保護にも強い
  • 顧問契約にも対応している
  • 英文契約書にも対応している

カルチャー・エンターテイメント法務に特化している

伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、パブリシティ権侵害を理由とする法的措置や、反対に法的措置をとられた際の対応などについて豊富なサポート実績を有しています。状況に応じた柔軟なサポートの提供が可能であるため、まずはお気軽にご相談ください。

代表は弁理士でもあり知財保護にも強い

伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに弁理士資格も有しています。そのため、知財面にも強みを有しており、知財保護のための出願やライセンス契約の締結から知財侵害時の対応に至るまで、一貫したサポートを提供できます。

顧問契約にも対応している

伊藤海法律事務所は、顧問契約にも対応しています。日ごろから弁護士に気軽に相談したいとご希望の際は、顧問契約もご検討いただくとよいでしょう。

顧問契約をいただいた場合、電話やメールのほか、LINEやChatwork、Slackなどさまざまな連絡手段による弁護士へのコンタクトが可能となるほか、弁護士を法務部チャットに追加いただくことも可能となります。

また、当事務所はフリーランスとして活動する方から上場企業様まで過不足のないサポートを提供できるよう、月額の顧問料や顧問料の範囲内でのサポート内容の異なる4種類の顧問プランを展開しています。

プラン 概要
スタンダードプラン フリーランス、個人事業主や比較的小規模な中小企業などを想定したプラン
リーガルプラン 一般的な中小企業などを想定したプラン
コーポレートプラン 上場企業などを想定したプラン
包括的法務受託 実質的な法務部として稼働するプラン

英文契約書にも対応している

伊藤海法律事務所は、英文契約書にも対応しています。そのため、パブリシティ権などに関して海外の個人や企業と契約を締結すべき場面においても、一貫したサポートを提供できます。

パブリシティ権に関する伊藤海法律事務所の主な対応実績

伊藤海法律事務所は、パブリシティ権に関して豊富なサポート実績を有しています。ここでは、パブリシティ権に関する当事務所の主な実績を3つ紹介します。

なお、ここで紹介するのは一例であり、状況やご希望に応じた柔軟なサポートが提供できます。パブリシティ権に関してお困りの際は、伊藤海法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

無断で俳優の顧客吸引力を利用していたブランドに対して差止請求と損害賠償請求をした事例

あるブランドが、俳優(当事務所のクライアントである芸能事務所に所属)の顧客吸引力をSNS上で無断で利用していました。

これを受け、当事務所の弁護士が所属事務所の代理人となり、ブランド側に差止請求と損害賠償請求を行った実績があります。

誤認によりパブリシティ権侵害を理由とする差止請求を受けたものの主張の却下に成功した事例

ある著名人が、企業のPRキャラクターに起用されていました。その企業はある飲食店のスポンサーであったため、飲食店は著名人の顔写真が掲載された看板を店内に設置していました。これを受けて、著名人側が「パブリシティ権の侵害」を理由として、飲食店に対して差止請求を行いました。

相談を受けた当事務所の弁護士が請求内容を精査した結果、著名人の看板の掲載には、その飲食店が提供する飲食物に対する顧客吸引力はないと判断できました。その旨を主張した結果、差止請求の却下に成功しました。

パブリシティ権に関するウェブセミナーを開催した事例

AIを積極的に利用する企業であれば、パブリシティ権への正しい理解は不可欠です。パブリシティ権に対する誤認があれば、思いがけず他者のパブリシティ権を侵害するなどしてトラブルに発展するかもしれません。

当事務所は、AIを積極的に活用している企業などを対象に、パブリシティ権に関するウェブセミナーを開催した実績を多数有しています。

声のパブリシティ権に関するよくある質問

最後に、声のパブリシティ権に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

「声」の無断使用にはパブリシティ権は適用されない?

著名人の「声」が無断で使用された場合も、パブリシティ権が適用される可能性があります。

近年ではAIによるディープフェイクの生成も容易となっており、声優などの著名人の「声」が無断で利用されるリスクが高くなっています。その際には、著名人の肖像や氏名などが無断で使用された場合と同様に、パブリシティ権の侵害が成立する可能性があるでしょう。

著名人以外にはパブリシティ権はない?

著名人以外には、原則としてパブリシティ権はありません。なぜなら、パブリシティ権とは顧客吸引力を前提とする権利であり、一般個人にこの顧客吸引力がある可能性は低いためです。

ただし、肖像権侵害など別の権利侵害によって対抗できる可能性があります。そのため、ご自分の肖像や氏名などが無断で使用されている場合には、自己判断で諦めるのではなく、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

ピンク・レディー事件の概要やピンク・レディー事件によって判示されたパブリシティ権の判断基準、パブリシティ権が侵害された際の対処法などについて解説しました。

ピンク・レディー事件とは、アイドルユニットであるピンク・レディーの肖像が無断で雑誌の特集記事に掲載されたことを受け、ピンク・レディー側がパブリシティ権侵害を主張して提訴した事件です。

この事件では最終的に、パブリシティ権の侵害は認められませんでした。しかし、最高裁が初めてパブリシティ権の意義や判断基準を示した事件であり、この点で重要な判例に位置づけられています。

とはいえ、パブリシティ権侵害の有無などを判断するのは、容易ではありません。そのため、パブリシティ権が侵害されている可能性があると感じたら、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士に相談することでパブリシティ権侵害の有無などが把握でき、具体的な対処法の見通しが立てやすくなります。

伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、パブリシティ権が侵害された場合の法的措置やパブリシティ権の侵害を疑われた場合の対応などについて豊富なサポート実績を有しています。また、パブリシティ権に関するセミナーの開催なども可能です。

パブリシティ権についても相談できるエンタメ業界の法務に強い弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までまずはお気軽にご連絡ください。

お気軽にお問い合わせください。