3Dアバターとは、立体的に形作られた3次元のキャラクターのことです。「メタバース」と呼ばれるインターネットの仮想空間などにおいて、ユーザーの分身などとして使用されます。とはいえ、必ずしも現実のユーザーの容貌に似ているとは限らず、実際とは異なる性別の3Dアバターを使ったり、動物など人間ではないキャラクターを自身のアバターに設定したりするケースも珍しくありません。

では、3Dアバターに著作権はあるのでしょうか?また、3Dアバターを作成する際はどのような点に注意する必要があるのでしょうか?今回は、3Dアバターへの著作権の有無や3Dアバターを作成する際の注意点、3Dアバターで著作権侵害をされた場合の対処法などについて、弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、3Dアバターに関するご相談にも対応しています。3Dアバターにまつわる著作権や知財の権利処理などについて相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

3Dアバターに著作権はある?

著作権とは、著作物を保護するための権利です。商標権などとは異なり、権利を発生させるために登録などを受ける必要はありません。著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生します。

そして、著作権の対象となる著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」です(著作権法2条1項1号)。高度な創作であることや著名であること、有償で頒布されていることなどは著作物の要件に入っておらず、子どもの描いた絵やSNS上に無償で投稿されたイラストなども、著作物となり得ます。

では、3Dアバターに著作権はあるのでしょうか?ここでは、ケースごとに解説します。

3Dアバターを精緻に作り込んだ場合

自身で3Dアバターを精緻に作り込んだ場合、3Dアバターには著作権が発生し得ます。そのため、その3Dアバターを他者に模倣されたり、その3Dアバターを無断で企業の広告などに使用されたりした際には、差止請求などの法的措置を検討できます。

プラットフォームが用意した選択肢から選ぶ場合

ユーザーが一から3Dアバターを作るのではなく、プラットフォーム側で選択肢となる「素材」が用意されており、これをユーザーが組み合わせることで作成する場合もあります。

この場合には、その素材に著作権が発生しており、著作権はプラットフォーム側に帰属するのが原則です。ユーザーは、プラットフォーム側から許諾を受け、その素材である著作物を利用規約の範囲内で「使わせてもらっている」に過ぎません。

ただし、素材の選択肢が非常に多く、これを組み合わせること自体に創作性があるといえる場合には、ユーザーが作成した3Dアバターに例外的に著作権が発生する可能性があります。

とはいえ、元となった素材の著作権がプラットフォーム側に帰属している以上はユーザーによる「完全オリジナル」の3Dアバターとまではいえず、あくまでも素材という「原著作物」を元とした「二次的著作物」と判断される可能性が高いでしょう。

原著作物と二次的著作物は「親ガメと子ガメの関係」にあり、二次的著作物の利用範囲は原著作物の利用許諾の範囲内に限られます。また、二次的著作物である3Dアバターの利用を別のX氏に許諾するにあたっては、X氏は原著作物(素材)の著作権者であるプラットフォーム側からも許諾を受けなければなりません。

生成AIを使用して作成する場合

昨今、生成AIを使って3Dアバターを作成する場合もあります。

前提として、生成AIは「人」ではないため、生成AI自体が3Dアバターの著作権者となることはありません。また、生成AIは「道具」であり、これ自体が主体的に著作物を創作することはできません。

そのため、生成AIを使って創作した3Dアバターに著作権が発生するか否かの回答としては、「生成AIを道具として使用した人間の創作物として著作権が発生する」もしくは「著作権は発生しない」かの2択となります。

パソコンのソフトを使う場合と同様に、生成AIを道具として使用しプロンプトを工夫して3Dアバターを創作した場合には、先ほど解説した「3Dアバターを精緻に作り込んだ場合」と同じく著作権が発生する可能性があります。

一方で、生成AIに「3Dアバターを作って」など簡単な指示のみを与えた場合には人間が「思想または感情を創作的に表現した」とまではいえず、その3Dアバターには著作権が発生しない可能性が高いでしょう。

3Dアバターを作成する際の著作権などの注意点

3Dアバターを作成する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、主な注意点を4つ解説します。

  • 他者の著作権を侵害しない
  • 他者の肖像権(パブリシティ権)を侵害しない
  • プラットフォームの利用規約を確認しておく
  • 迷ったら弁護士へ相談する

他者の著作権を侵害しない

1つ目は、他者の著作権を侵害しないことです。

まず、「好きなアニメキャラ(漫画キャラ)に似せたアバターを作ろう」と考えると著作権侵害を招く可能性が高いため、あえて似せることは避けるべきです。また、先ほど解説したように、著作権の対象となる著作物の範囲は非常に広範にわたります。

そのため、他者の3Dアバターを許諾を得ずに真似ることなどもおすすめできません。

他者の肖像権(パブリシティ権)を侵害しない

2つ目は、他者の肖像権(パブリシティ権)を侵害しないことです。

3Dアバターを作る際、「好きな著名人に似せたい」と考えることもあるかもしれません。しかし、著名人の肖像にはパブリシティ権があります。パブリシティ権とは、著名人が持つ顧客誘引力をその著名人本人が排他的に利用できる権利のことです。顧客誘引力は、たとえばある商品のコマーシャルにある芸能人が出ているときに「この人がCMをしているのなら、買いたい」と消費者に思わせる力を指します。

そのため、誰が見てもその著名人であるとわかるほど本人に似た3Dアバターを使用した場合には、パブリシティ権の侵害であるとして損害賠償請求などがなされるおそれがあるでしょう。

なお、著名ではない一般個人にはパブリシティ権はありません。しかし、他者の容貌に酷似した3Dアバターを用いることはトラブルの原因となり得るため、避けるべきでしょう。

プラットフォームの利用規約を確認しておく

3つ目は、プラットフォームの利用規約を確認しておくことです。

プラットフォームによっては、そのプラットフォーム上で作成した3Dアバターの著作権が、プラットフォーム側に帰属するとされている可能性もあります。その場合には、同じアバターを他のプラットフォームでも使用する場合、著作権者であるプラットフォーム側から差止請求などがなされてトラブルとなる可能性があるでしょう。

迷ったら弁護士へ相談する

4つ目は、迷ったら弁護士へ相談することです。3Dアバターに関して著作権などにまつわる疑問が生じた場合には、著作権やメタバースなどにくわしい弁護士へ相談することをおすすめします。

特に、企業や著名人が3Dアバターに関して著作権侵害をした場合には多大な影響が及ぶおそれがあるため注意が必要です。

3Dアバターの著作権について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、3Dアバターにまつわる著作権についても豊富な相談対応実績を有しています。

3Dアバターで他者に著作権を侵害された場合の主な対処方法

3Dアバターで、著作権が侵害される場合もあります。では、著作権侵害に対してはどのような措置が検討できるのでしょうか?ここでは、主な法的措置のメニューを紹介します。

  • 差止請求
  • 損害賠償請求
  • 刑事告訴
  • アカウントの停止措置

なお、実際にどの法的措置が適しているかは、状況によって異なります。3Dアバターで著作権を侵害されてお困りの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。

差止請求

3Dアバターで著作権侵害をされた場合、相手への差止請求が検討できます。差止請求とは、著作権侵害にあたる3Dアバターの使用をやめるよう求めるものです。

相手方があえて侵害行為をしているのではない限り、権利者から差止請求がされた時点で問題のアバターの使用を辞めることがほとんどでしょう。

損害賠償請求

3Dアバターでの著作権侵害によって損害が生じている場合、相手への損害賠償請求が検討できます。損害賠償請求とは、相手の不法行為(3Dアバターでの著作権侵害)によって生じた損害を、金銭の支払いによって償うよう求めるものです。

なお、著作権法では損害賠償請求にあたって損害額を推定する規定が設けられており、損害賠償請求のハードルがやや引き下げられています(同114条)。

刑事告訴

3Dアバターでの著作権侵害が故意になされた場合、相手の刑事告訴が検討できます。刑事告訴とは、警察などの捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことです。3Dアバターでの著作権侵害だけで相手が有罪となる可能性は低いものの、非常に悪質なケースでは相手に前科がつく可能性もあります。

なお、著作権侵害の刑事罰は、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはこれらの併科とされています(同119条1項)。また、法人の業務の一環で侵害行為がなされた場合には、法人も3億円以下の罰金刑の対象となります(同124条1項)。

アカウントの停止措置

法的措置ではないものの、3Dアバターでの著作権侵害に対する現実的な対抗措置として、相手のアカウントの停止措置(いわゆる「垢ban」)が挙げられます。

多くのプラットフォームは利用規約でプラットフォーム上での著作権侵害行為を禁止しています。そのため、プラットフォームに著作権侵害の事実を「通報」をすることで、相手のアカウントを停止できる可能性があります。

3Dアバター実演に関する著作隣接権(実演権)の概要

3Dアバターにはそのアバター自体の著作権のほかに、「実演権」が発生する場合もあります。ここでは、著作隣接権である実演権の概要について解説します。

著作隣接権(実演権)とは

実演権は著作隣接権の1つであり、俳優の演技や詩の朗読、振り付けに沿ったダンス、歌の歌唱などが「実演」にあたります。

実演権を有する実演家は、自分の実演を録音・録画したり送信可能化(インターネットへのアップロードなど)したりする権利を有しており、これらを他者が無断で行えば著作隣接権の侵害となります。

3Dアバターの実現に著作隣接権(実演権)は発生する?

3Dアバターは、ユーザーが何らかの操作をすることでインターネットの仮想空間上で動作します。通常の歩行など、メタバース上で通常行われる動きであれば、実演権が生じる可能性は低いでしょう。

一方で、そのアバターのキャラクター設定がなされており、ユーザーがモーションキャプチャーなどによってキャラクターを躍らせたり「決めポーズ」などをさせたりする場合にはこれが「実演」にあたり、ユーザーが「実演権者」となる可能性があります。

このように、3Dアバターの決めポーズなどが実演として保護される可能性もあります。お困りの際は伊藤海法律事務所までご相談ください。

3Dアバターの著作権の相談が可能な弁護士なら伊藤海法律事務所にご相談ください

著作権は、弁護士によっても得意・不得意が分かれやすい分野です。そのため、3Dアバターの著作権について相談しようにも、誰に相談すべきかわからないことも多いでしょう。

3Dアバターの著作権にまつわる相談は、伊藤海法律事務所にお任せください。最後に、当事務所の主な特長を5つ紹介します。

  • 代表は弁護士のほか弁理士でもある
  • カルチャー・エンターテイメント法務に強い
  • 多様な顧問プランを設けている
  • 英文契約書にも対応している
  • 弁護士への連絡手段が多様である

代表は弁護士のほか弁理士でもある

伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほか弁理士資格も有しています。そのため、著作権の保護や処理にまつわる相談から侵害時の法的措置に至るまで、総合的なリーガルサポートが可能です。

カルチャー・エンターテイメント法務に強い

伊藤海法律事務所は、カルチャー・エンターテイメント法務やテクノロジー法務に特化しています。

3Dアバターなど新しい技術について正しく理解できている弁護士は、まださほど多くはありません。当事務所は、メタバースや3Dアバターなど最新のテクノロジーにも対応しているため、安心してご相談いただけます。

多様な顧問プランを設けている

伊藤海法律事務所では案件ごとのスポット相談にも対応している一方で、日々気軽に相談できる弁護士をお探しの場合には顧問契約プランもおすすめです。当事務所は個人のクリエイターから上場企業まで過不足のないサポートを提供できるよう、4種類の顧問プランを設けています。

英文契約書にも対応している

著作権などの知的財産権の保護や的確な処理にあたっては、海外の企業や個人と契約を交わすべき場合もあるでしょう。伊藤海法律事務所は英文契約書にも対応しているため、海外との取引が生じた際にも一貫したサポートが提供できます。

弁護士への連絡手段が多様である

伊藤海法律事務所は、電話やEメールなどのほか、LINEやChatwork、Slackなどでのやり取りにも対応しています。

また、顧問契約をいただいた場合には弁護士を法務のチャットへ追加することが可能となり、問題の早期段階からの関与やよりスピーディーな対応などが実現できます。

まとめ

3Dアバターへの著作権の有無や3Dアバターを作成する際の注意点、3Dアバターによって著作権侵害をされた場合の法的措置などを解説しました。

3Dアバターに著作権が発生するか否かは、ケースバイケースです。プラットフォーム側が用意したパーツを組み合わせた程度ではユーザーには著作権が発生しない可能性が高いのに対し、3Dアバターを精緻に作り込んだ場合には著作権が発生する可能性もあります。

3Dアバターを作成する際は、他者の著作権やパブリシティ権などを侵害しないよう注意しなければなりません。特に、企業や著名人が3Dアバターの著作権について判断に迷った場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士へ相談することで認識の違いなどから著作権侵害をする事態を抑止でき、トラブルの防止につながるためです。

伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務やテクノロジー法務に特化しており、3Dアバターや著作権にまつわるリーガルサポートも可能です。3Dアバターにまつわる著作権について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

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