キャラクターは、コンテンツビジネスを展開する企業におけるIPの要ともなり得るものです。しかし、キャラクターのIPについては誤解も少なくありません。

では、キャラクターには著作権はあるのでしょうか?また、キャラクターのIPを保護するには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?今回は、キャラクターと著作権との関係やキャラクターのIPを保護する方法、キャラクターのIPが侵害された場合の対応などについて、弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(伊藤海法律事務所)の代表である伊藤海は弁護士のほか弁理士資格も有しており、キャラクターのIP保護について総合的なリーガルサポートが可能です。キャラクターのIP保護をご検討の際やキャラクターのIPが侵害されてお困りの際には、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

キャラクターに著作権はない?

結論として、キャラクターそのものには著作権はありません。

そもそも、キャラクターとは、アニメや漫画などに登場する人物設定などのアイデアを指すものです。一方で、著作権の保護対象となる著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされており、「表現」されたものであることが大前提です(著作権法2条1項1号)。つまり、アイデアであるキャラクターそのものは、著作物ではありません。

ただし、キャラクターがデザインされたイラストや漫画の絵、アニメの映像などは著作権の保護対象です。たとえば、「ドラえもん」というキャラクターの設定(未来からやってきたネコ型ロボット、等)自体には著作権は発生しない一方で、「ドラえもん」の漫画本のコマやセリフ、TVアニメや映画の画像、映像などは著作権の保護対象になるということです。

そのため、著作権者から許可を得ることなくドラえもんの漫画本をコピーしてインターネット上に掲載したり、ドラえもんのキャラクターイラストを印字したグッズを販売したりする行為は、当然ながら著作権侵害にあたります。

また、ここでは誰もが知るキャラクターの代表格として「ドラえもん」の例を挙げたものの、著作権の保護対象となることに「著名であること」などの要件はありません。そのため、無名のイラストレーターがSNSで無償公開したキャラクターイラストも、著作権の保護対象となります。

キャラクターのIPを保護する方法1:商標権を獲得する

先ほど解説したように、キャラクターそのものは著作権の保護対象となりません。ここでは、キャラクターのIPを保護する方法を3つ解説します。

キャラクターのIPを保護する1つ目の方法は、商標権の獲得です。キャラクターのIPを保護するには、キャラクターの名称やデザインなどについて商標登録を検討すると良いでしょう。ここでは、商標権の概要と有効期限について解説します。

商標権とは

商標権とは、「商標」を保護する権利です。商標登録を受けた場合、登録を受けた商品・サービスの区分において、その商標を独占的に使用することが可能となります。

商標とは、商品やサービスについて使用される文字や図形、記号、立体的形状、色彩、これらの結合、音などを指します(商標法2条1項)。商標の代表格としては、商品のネーミングや会社のロゴ、ペコちゃん人形のような立体的形状、サウンドロゴなどが挙げられます。

ただし、商標権は商標の使用によって自動的に発生するものではありません。商標権を獲得するには、特許庁に出願して登録を受ける必要があります。

キャラクターを模倣しようとする場合、その名称やキャラクターが有する特徴的なデザインが使用されることが多いでしょう。そこで、キャラクターの名称やデザインについて商標出願し、登録を受けることが検討できます。

他者の商標権を侵害する行為は差止請求や損害賠償請求の対象となるほか、故意であれば刑事罰の対象ともなります。そのため、キャラクターの名称やデザインについて商標登録を受けることは、キャラクターのIP侵害への抑止力となるでしょう。

なお、登録を受けた商標は特許庁が運営する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で公表されるため、偶然の一致であっても差止請求などの法的措置が可能です。

伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は弁護士のほかに弁理士資格も有しているため、商用出願のサポートも可能です。キャラクターのIP保護をご希望の際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。

商標権の有効期限

商標登録の期限は、設定登録の日から10年間です。ただし、更新は可能であり、10年ごとに更新を続ける限り半永久的に権利を維持できます。キャラクターの権利を守りたい場合には、早期の商標登録をおすすめします。

商標登録をご検討の際は、伊藤海法律事務所へご相談ください。

キャラクターのIPを保護する方法2:意匠権を獲得する

キャラクターのIPを保護する2つ目の方法は、意匠権を獲得することです。ここでは、意匠権の概要と有効期限を解説します。

意匠権とは

意匠権とは、物や建築物、画像などのデザインに対して与えられる権利です。意匠登録を受けた場合、その意匠を独占排他的に実施することが可能となります。意匠権も商標権と同じく自動的に発生する権利ではなく、権利を獲得するには特許庁に出願をして登録を受けなければなりません。

意匠権での保護を検討するのは、キャラクターそのものではなく、キャラクターグッズです。たとえば、キャラクターを模したキーホルダーやキャラクターが印字されたTシャツ、タオルなどについて意匠登録を受けることで、模倣品が出回る事態を避けやすくなります。

意匠権の侵害に対しては、商標権侵害と同じく差止請求や損害賠償請求が可能です。また、登録を受けた意匠についても「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で公表されることから、偶然の一致であっても法的措置の対象となります。

伊藤海法律事務所では、意匠登録の出願に関するサポートも可能です。キャラクターのIPを保護する方法でお悩みの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

意匠権の有効期限

意匠権の存続期間は、原則として意匠登録出願日から最長25年間です。2020年3月31日までに出願された意匠権は設定登録の日から最長20年が有効期限であったところ、期限が伸長されています。

なお、商標権とは異なり、意匠権は原則として更新できません。有効期限の満了後は、誰でも自由にその意匠を実施できることとなります。そのため、必要に応じて商標権と意匠権を使い分けたり、組み合わせたりしてキャラクターのIP保護をはかるとよいでしょう。

キャラクターのIPを保護する方法3:不正競争防止法で解決を図る

キャラクターのIPを保護する方法の3つ目は、不正競争防止法を使って解決をはかることです。ここまでで紹介した2つの方法とは異なり、これは事前に講じる対策ではなく、事後的な対処法です。

そのため、これは商標権侵害や意匠権侵害などとして対抗できない場合における、最終手段と考えるとよいでしょう。不正競争防止法違反の概要と注意点を解説します。

不正競争防止法とは

不正競争防止法とは、不正な競争を抑止したり不正な競争に対してペナルティを与えたりすることを通じ、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。

不正競争防止法では、「不正競争」に当たる行為が羅列されています。その中に、他人の商品等表示を盗用する行為や他人の商品の形態を模倣する行為などが挙げられています。

そのため、商標登録や意匠登録を受けていない場合においてキャラクターのIPが侵害された場合には、不正競争防止法違反での対応を検討することとなります。

不正競争防止法で解決を図る際の注意点

キャラクターのIPが侵害された場合において、不正競争防止法違反による対応は万能ではありません。なぜなら、不正競争防止法違反で保護対象となるためには、盗用された商標などが著名であったり周知されていたりするとの要件を満たす必要があるためです。

また、著名・周知であることは、請求者側(つまり、模倣をされた側)に立証責任があります。これに対し、商標権侵害や意匠権侵害では、その商標や意匠が著名であるか、周知されているかなどは問われません。

また、不正競争防止法違反に問うには、相手方の故意または過失の存在についての立証も必要です。不正競争防止法は「不正」な競争を防止するための法律であり、偶然の一致は不正競争防止法違反とはならないためです。この立証も、容易なことではないでしょう。

一方で、商標権侵害や意匠権侵害の場合には、侵害行為があった時点で相手方の過失の存在が推定されます(商標法39条、特許法103条、意匠法40条)。そのため、権利者側で侵害者の故意や過失を立証する必要はありません。

このように、商標権侵害や意匠権侵害と比較して、不正競争防止法違反による対抗はハードルが高いといえます。そのため、可能な限り商標権や意匠権の獲得を目指し、これらの取得ができなかった場合の最終手段として不正競争防止法での解決を検討するとよいでしょう。

キャラクターのIP保護をご検討の際はや、キャラクターのIPが侵害されてお困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。伊藤海法律事務所では商標出願や意匠出願などの予防措置から侵害発生時の法的措置に至るまで、総合的なリーガルサポートが可能です。

キャラクターのIPが侵害された場合の対応

自社が権利を有するキャラクターのIPが侵害された場合、どのように対応すればよいのでしょうか?ここでは、侵害に気付いた場合における基本の対応について、概要を解説します。

  • 弁護士へ相談して対応を検討する
  • 差止請求を行う
  • 損害賠償請求をする

弁護士へ相談して対応を検討する

キャラクターのIPが侵害されていることに気付いたら、早期に弁護士へ相談しましょう。弁護士へ相談することで侵害の有無が判断しやすくなるほか、そのケースにおける最善の対処法が検討しやすくなるためです。

キャラクターのIPが侵害され、相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所へご相談ください。

差止請求を行う

弁護士へ相談し、キャラクターのIPが実際に侵害されていると判断できた場合には、差止請求を行います。

差止請求とは、相手に侵害行為をやめるよう求めるものです。今後侵害行為をしないことのみならず、すでに流通している侵害品の回収を求めたり、侵害行為に供した設備の除却など侵害行為の予防措置を求めたりすることも可能です。

損害賠償請求をする

差止請求と併せて、損害賠償請求を行います。損害賠償請求とは、相手の不法行為によって生じた損害の償いを、金銭の支払いによって求めるものです。

損害賠償請求は、まず弁護士から内容証明郵便の送付などによって行うことが一般的です。弁護士から請求をしても相手方が支払いに応じない場合などには、裁判上での請求などへと移行します。

なお、通常の損害賠償請求では不法行為と損害との因果関係のほか、損害額の立証などがハードルとなります。ただし、商標法や意匠法においては損害額などを推定する規程などが置かれており、侵害行為に対する損害賠償請求のハードルが大きく引き下げられています。

この点からも、キャラクターのIPを保護するためには、商標登録や意匠登録を積極的に検討すべきといえるでしょう。キャラクターのIPが侵害されてお困りの際や、侵害行為を防止するための対策を講じたい際などには、伊藤海法律事務所までお早めにご連絡ください。

キャラクターのIP保護でお困りの際は伊藤海法律事務所へご相談ください

キャラクターのIP保護についてお困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

  • カルチャー・エンターテイメント法務に強い
  • 代表は、弁護士のほかに弁理士資格も有している
  • 多様な顧問プランがある
  • 英文契約書にも対応できる

カルチャー・エンターテイメント法務に強い

伊藤海法律事務所は、カルチャー・エンターテイメント法務に強みを有しています。キャラクターのIP保護について豊富なサポート実績を有しているため、状況やご希望に合った的確なリーガルサポートが可能です。

代表は、弁護士のほかに弁理士資格も有している

伊藤海法律事務所の代表・伊藤海は、弁護士のほか、弁理士資格も有しています。そのため、弁護士の業務範囲であるキャラクターのIPが侵害された際の法的措置や契約締結サポートのみならず、弁理士の範疇である商標出願や意匠出願などのサポートも可能です。

特にコンテンツ業界においてはIPの保護が非常に重要であり、弁護士と弁理士へまとめて依頼できる点は大きなメリットといえるでしょう。

多様な顧問プランがある

伊藤海法律事務所は、スポットでの相談・ご依頼のほか、顧問契約の締結もお受けしています。当事務所では月額料金と料金に含まれるサービス内容が異なる4種類の顧問プランを設けており、自社の成長ステージや規模、ニーズなどに応じて過不足のない顧問プランが選択できます。

英文契約書にも対応できる

キャラクタービジネスに携わる企業では、海外と契約を締結する機会も少なくないでしょう。伊藤海法律事務所は英文契約書にも対応しているため、海外の企業・個人との契約であっても一貫したリーガルサポートが可能です。

まとめ

キャラクターへの著作権の有無やキャラクターのIPを保護する方法、キャラクターのIPが侵害された場合の対処法などについて解説しました。

キャラクターそのものには、著作権はありません。著作権の対象となる著作物は「表現」されたものである必要がある反面、キャラクターはアイデアに過ぎないためです。ただし、キャラクターを表現したイラストや漫画のコマ、アニメの画像、動画などは著作権の保護対象となります。

キャラクターのIPを保護するには、キャラクターの名称やキャラクターのイラストについて商標登録を受けたり、キャラクターグッズについて意匠登録を受けたりするなどの対策を検討するとよいでしょう。商標権や意匠権を獲得することで、キャラクターのIP侵害の抑止力となります。また、万が一侵害が発生した際にも、差止請求や損害賠償請求などスムーズな法的措置が可能となります。

伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテイメント法務に強みを有しており、キャラクターのIP保護について豊富なサポート実績を有しています。キャラクターのIP保護について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

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