広告を出稿する前には、リーガルチェックを徹底しなければなりません。広告のリーガルチェックが甘く問題のある広告を出稿してしまうと、さまざまなリスクが生じます。

では、広告のリーガルチェックではどのような法律に注意する必要があるのでしょうか?また、広告のリーガルチェックが甘い場合、どのようなリスクが生じ得るでしょうか?今回は、広告のリーガルチェックで注意すべき景表法や薬機法などの概要、広告のリーガルチェックが甘い場合に生じるリスク、広告のリーガルチェックを弁護士に依頼するメリットなどについてくわしく解説します。

なお、当事務所(伊藤海法律事務所)は、広告のリーガルチェックについて豊富なサポート実績を有しています。広告のリーガルチェックを弁護士に任せたいとお考えの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

広告のリーガルチェックとは?

広告のリーガルチェックとは、出稿する広告の内容や表現に法令やガイドラインへの違反がないか事前に確認することを指します。

広告のリーガルチェックを徹底することで問題のある広告の出稿を未然に防ぐことが可能となり、罰則の適用や企業イメージの毀損などのリスクを回避できます。

広告のリーガルチェックで注意すべき主な法律

広告のリーガルチェックでは、さまざまな法律に注意する必要があります。ここでは、広告のリーガルチェックで注意すべき主な法律を3つ解説します。

  • 景表法
  • 薬機法
  • 消費者契約法

景表法

1つ目は、景表法です。景表法は正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを厳しく規制しています。

景表法の規制対象である「表示」には、商品パッケージなどのほか、新聞・雑誌・出版物・テレビ・ラジオのCMやポスター・看板、インターネット広告なども含まれます。そのため、広告を出稿する際は、広告内容が景表法に違反しないことを厳しい目で確認する必要があるでしょう。

薬機法

2つ目は、薬機法です。薬機法は、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。

この法律は、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質や有効性、安全性を確保することなどにより、保健衛生の向上を図ることを目的としています。

広告の対象が医薬品や化粧品などである場合はもちろん、それ以外の場合にも薬機法は無関係ではありません。なぜなら、薬機法では承認を受けていない医薬品や医療機器、再生医療等製品(「未承認医薬品等」といいます)の広告を禁止しており、この規制の対象者は「何人も(つまり、「すべての人」)であるためです。

たとえば、直接的には薬機法の規制対象ではない健康食品の広告で「便秘に効く」や「痩せる」など医薬品のような効能・効果を表示すれば、未承認医薬品の広告であるとして薬機法に違反するおそれがあるでしょう。

そのため、医薬品や医療機器など薬機法の直接の規制対象である商品の広告であればもちろん、その他の広告であっても薬機法に注意を払う必要があります。

消費者契約法

3つ目は、消費者契約法です。消費者契約法とは、消費者と事業者では情報の質や量、交渉力などに格差があることを前提に、消費者への不当な勧誘などを規制する法律です。消費者契約法上の「不当な勧誘」に該当することは、契約の取消しの原因となります。

事業者による広告は、この「勧誘」にあたる可能性があります。なかでも、インターネット上の広告では消費者が広告をクリックすることなどで容易に契約が成立するため、原則として「勧誘」に該当するといえるでしょう。そのため、広告のリーガルチェックでは、消費者契約法にも注意を払う必要があります。

参照元:インターネット上の広告表示(消費者庁)

広告のリーガルチェックが甘い場合に生じ得る主なリスク

広告のリーガルチェックが甘い結果、問題のある広告を出稿してしまうと、さまざまなリスクが生じます。ここでは、広告のリーガルチェックが甘い場合に生じ得る主なリスクを解説します。

  • 行政指導・措置命令の対象となる
  • 課徴金納付命令の対象となる
  • 罰則が適用される
  • 消費者などから返金などを求められる
  • 企業の信頼が失墜する

行政指導・措置命令の対象となる

広告のリーガルチェックが甘いことで法令に違反する広告を出稿すれば、行政指導や措置命令などの対象となり得ます。

具体的には、問題のある広告の差し止め請求や報告書の提出命令などがなされる可能性があるでしょう。また、中には、違反した事実を消費者に公表するよう命じられることもあります。

課徴金納付命令の対象となる

広告のリーガルチェックが甘く、景表法や薬機法など一定の法令に違反する場合、課徴金納付命令の対象となる可能性があります。

課徴金とは、法令違反行為の抑止を目的として違反事業者に対して行政が課す金銭的負担です。広告規制に違反する場合、その違反行為によって生じた得た売上金に一定割合を乗じた額が、課徴金として納付を命じられることがあります。

課徴金制度がなければ、法令違反となる広告によって大きな利益を得られる場合、「やったもの勝ち」となってしまうおそれがあるでしょう。そのような事態を避けるため、違反によって得た額のうち一定割合を徴収する課徴金制度が導入されています。

罰則が適用される

広告のリーガルチェックが甘く、景表法の優良誤認表示や有利誤認表示に違反する内容の広告を出稿すれば、100万円以下の罰金刑に処される可能性があります(景表法48条)。

また、景表法の措置命令に違反した場合には、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科に処されます(景表法46条)。同様に、薬機法の措置命令に違反した場合には、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科の対象となります(薬機法85条)。

消費者などから返金などを求められる

広告のリーガルチェックが甘く、広告が消費者契約法上の不実告知などにあたる場合には、広告内容を信じて契約をした消費者から契約の取消しや返金などを求められる可能性があります。

企業の信頼が失墜する

広告のリーガルチェックが甘いことで措置命令などの対象となった場合、違反事例が公表されることがあります。また、事案によってはニュースなどで話題となることもあります。

これにより「悪質な事業者である」との認識を持たれれば、企業の信頼が失墜し、業績に影響が及ぶ可能性もあるでしょう。

広告のリーガルチェックを行う2つの方法

広告のリーガルチェックを行うには、主に2つの方法があります。それぞれの方法について、概要を解説します。

  • 自社の法務部でリーガルチェックをする
  • 弁護士に依頼してリーガルチェックを受ける

自社の法務部でリーガルチェックをする

1つ目は、自社の法務部で広告のリーガルチェックをする方法です。

自社に法務部がある場合には、広告のリーガルチェックを内製化することが選択肢に入ります。広告のリーガルチェックを内製化できれば、外部の専門家に依頼する費用は掛かりません。

ただし、チェックの品質が法務部員の能力に左右される点がリスクといえるでしょう。

弁護士に依頼してリーガルチェックを受ける

2つ目は、弁護士に依頼して広告のリーガルチェックを受ける方法です。

弁護士に広告のリーガルチェックを依頼する場合、費用がかかります。しかし、弁護士に広告のリーガルチェックを依頼するメリットは小さいものではありません。

弁護士に依頼するメリットは、次でくわしく紹介します。なお、広告のリーガルチェックが頻繁に生じる場合にはスポットでの依頼ではなく、弁護士との顧問契約締結も有力な選択肢になるでしょう。

伊藤海法律事務所は広告のリーガルチェックについて豊富な実績を有しており、顧問契約にも対応しています。広告のリーガルチェックを弁護士に依頼したいとお考えの際や弁護士に依頼する場合の費用が知りたい際などには、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

広告のリーガルチェックを弁護士に依頼する主なメリット

広告のリーガルチェックを弁護士に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを4つ解説します。

  • 最新の法令やガイドラインを踏まえた的確なチェックが受けられる
  • 弁護士からのレビューを受けて自社の広告ノウハウが向上する
  • 安心して広告を出稿しやすくなる
  • 自社でかける手間や時間が軽減する

最新の法令やガイドラインを踏まえた的確なチェックが受けられる

1つ目は、最新の法令やガイドラインを踏まえた的確なリーガルチェックが実現できることです。

先ほど解説したように、広告のリーガルチェックではさまざまな法令を参照する必要があるほか、関連するガイドラインも確認しなければなりません。しかし、法令やガイドラインは適宜改正されるため、改正情報に常にアンテナを張っておく必要があります。しかし、自社だけで常に改正情報を追いかけるのは容易でないでしょう。

弁護士は関連する法令やガイドラインの改正情報に常に注意を払っているため、弁護士に依頼することで最新情報に基づいた広告のリーガルチェックが実現できます。

弁護士からのレビューを受けて自社の広告ノウハウが向上する

2つ目は、弁護士からのレビューを受けることで、自社の広告ノウハウが向上することです。弁護士に広告のリーガルチェックを依頼する場合、仮にその広告に何らかの問題があれば、その点について弁護士からレビューを受けることが可能です。

たとえ現時点では自社の広告のリーガルチェックのノウハウが不十分であったとしても、弁護士からのレビューを繰り返し受けることでチェックの視点や問題のある表現などに関する理解が深まり、広告ノウハウの向上につながるでしょう。

安心して広告を出稿しやすくなる

3つ目は、安心して広告を出稿できることです。社内で広告のリーガルチェックをする場合、リーガルチェックの精度に不安があれば、その不安が広告出稿や事業拡大の足かせとなりかねません。

弁護士から広告のリーガルチェックを受ける場合には、最終的に出稿する広告に法的な問題がないことが明確となるため、安心して広告を出稿しやすくなります。

自社でかける手間や時間が軽減する

4つ目は、自社でかける手間や時間を大きく削減できることです。

広告のリーガルチェックを自社で行う場合、関連する法令・ガイドラインを調べたり過去に問題となった事例を調べたりすることに多大な時間や労力を要します。費用を節約するために内製化したにもかかわらず、その結果として法務部員が業務過多となり残業代が嵩んだり有能な人材の退職につながったりすれば、本末転倒でしょう。

広告のリーガルチェックを弁護士に依頼することで、自社で投じる手間や時間を大きく削減することが可能となります。

広告のリーガルチェックに関するよくある質問

広告のリーガルチェックに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

広告のリーガルチェックで特に注意すべき法律は?

広告のリーガルチェックで特に注意すべき法律は、景表法と薬機法、消費者契約法です。

ただし、たとえば金融商品の広告であれば金商法、不動産の広告であれば宅建業法というように、業種や広告の対象物などによっては他にも注意すべき法律が生じます。そのため、関連する法令を漏らさないよう注意すべきでしょう。

広告のリーガルチェックを弁護士にスムーズに依頼する方法は?

広告のリーガルチェックを弁護士にスムーズに依頼するには、広告審査に強い弁護士との顧問契約の締結がおすすめです。

弁護士と顧問契約を締結することで、弁護士が多忙な時期であっても優先的な対応が受けやすくなります。また、逐一弁護士の事務所に出向かずとも、メールやチャットなど簡易な通信手段によりチェックを受けてもらえる場合も多いでしょう。

なお、伊藤海法律事務所は個人事業主から上場企業まで幅広く対応できるよう、ニーズに合わせた4種類の顧問契約プランを設けています。広告のリーガルチェックを依頼する弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

広告のリーガルチェックは伊藤海法律事務所にお任せください

広告のリーガルチェックは、伊藤海法律事務所にお任せください。最後に、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

  • 広告のリーガルチェックについて豊富な実績を有している
  • 知財に強い
  • 4種類の顧問契約プランを設けている
  • 弁護士への連絡手段が豊富にある

広告のリーガルチェックについて豊富な実績を有している

伊藤海法律事務所は、広告のリーガルチェックについて豊富な実績を有しています。漏れのない的確なリーガルチェックが実現できるため、安心してお任せいただけます。

知財に強い

伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに弁理士資格も有しており、知財面にも強みを有しています。そのため、商標や意匠などの知財を守る出願についてのサポートのほか、広告で注意すべき商標侵害や著作権侵害などについてのご相談・サポートも可能です。

4種類の顧問契約プランを設けている

伊藤海法律事務所は、さまざまな規模の企業への対応を実現するため、4種類の顧問契約プランを設けています。

プラン 概要
スタンダードプラン 個人事業主やフリーランス、比較的小規模な中小企業、創業間もないベンチャーからアーリーステージ、スモールビジネスなどを想定したプラン
リーガルプラン 一般的な中小企業からメガベンチャーなどを想定したプラン
コーポレートプラン 上場企業などを想定したプラン
包括的法務受託 実質的な法務部として稼働するプラン

そのため、想定される業務のボリュームに対して、過不足のないサポートが提供できます。

弁護士への連絡手段が豊富にある

伊藤海法律事務所では、電話やメールのほか、LINEやSlack、Chatworkなどさまざまな連絡手段に対応しています。また、顧問契約をいただいた場合には法務部のグループチャットに弁護士を追加いただくことも可能となり、よりスピーディーかつスムーズな対応が実現できます。

まとめ

広告のリーガルチェックの概要や特に注意すべき法律、広告のリーガルチェックが甘い場合に生じ得るリスク、広告のリーガルチェックを弁護士に依頼するメリットなどを解説しました。

広告のリーガルチェックとは、広告を出稿する前に広告の内容や表現が法令やガイドラインに違反していないか否か確認することです。広告のリーガルチェックで注意すべき主な法令としては景表法や薬機法などが挙げられるものの、広告の対象の商品・サービスや事業内容などによってはその他の法令やガイドラインの参照も必要となります。

広告のリーガルチェックは自社の法務部などで行う場合もあるものの、弁護士に依頼することも可能です。弁護士に広告のリーガルチェックを依頼することには、最新の法令やガイドラインを踏まえた的確なチェックが受けられることや弁護士からのレビューを受けて自社の広告ノウハウの向上につながること、自社でかける手間や時間を大きく削減できることなどのメリットがあるため、弁護士への依頼も検討するとよいでしょう。

伊藤海法律事務所は広告のリーガルチェックについて豊富なサポート実績を有しています。広告のリーガルチェックをご希望の際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください。