自身が携わる業界に関係する法律を正しく知っておかなければ、思わぬ不利益を被ったりトラブルに発展したりする可能性があります。
では、ファッション業界に関する主な法律にはどのようなものがあるのでしょうか?また、ファッション業界に携わる方は、どのような視点で弁護士を選べばよいのでしょうか?
今回は、ファッション業界の方が知っておきたい法律を紹介するとともに、ファッション業界で生じやすい法律トラブルや弁護士を選ぶ視点などについて解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はカルチャー・エンターテイメント法務に特化しており、ファッション業界に携わる方に対して豊富なサポート実績を有しています。ファッション業界の法律について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご連絡ください。
▼この記事のポイント
- ファッション業界に関する主な法律には、意匠法や商標法、不正競争防止法などがある
- ファッション業界で生じやすい主な法律トラブルには、デザインの模倣やブランドの盗用、契約関係のトラブルなどが挙げられる
- ファッション業界に携わる方は、ファッション業界の法律や取引慣習、知財などに強い弁護士を選ぶのがおすすめ
ファッション業界で知っておくべき主な法律
ファッション業界に身を置く方が知っておくべき主な法律としては、次のものが挙げられます。
- 意匠法
- 商標法
- 不正競争防止法
- 景品表示法
- 特定商取引法
- 取適法
それぞれの法律の概要を解説します。
意匠法
意匠法とは、意匠の保護などを定める法律です。
「意匠」とは、物品などの形状や模様、色彩、これらの結合を指し、ファッションのデザインは意匠に該当する可能性があります。ただし、意匠権は自動的に発生するものではなく、デザインに意匠権を発生させるには特許庁に出願して登録を受けなければなりません。
ファッション業界ではデザインの模倣の防止や模倣された際の早期対応が重要となるため、意匠法について正しく理解しておく必要があります。また、知らずに他者の意匠権を侵害しないという観点からも、意匠法への正しい理解は不可欠でしょう。
商標法
商標法とは、商標の保護などを定める法律です。
「商標」とは商品やサービスについて使用される文字や図形などを指し、たとえばブランドロゴやブランド名などがこれに該当します。また、EDWINのバックポケットに縫いこまれるタブの配置など、図形と位置がセットで登録される場合もあります。
ただし、商標権は自動的に発生するものではありません。商標について商標権を発生させるには、特許庁に出願して登録を受ける必要があります。
自社のブランドを守るため、そして知らずに他者の商標権を侵害する事態を避けるためにも、商標権について正しく理解しておく必要があるでしょう。
不正競争防止法
不正競争防止法とは、不正な競争を防止することを目的とする法律です。
不正競争防止法では「不正競争」の類型が定められており、その中には次のものなどがあります。
- 周知な商品等表示の混同惹起
- 著名な商品等表示の冒用
- 他人の商品形態を模倣した商品の提供
意匠登録や商標登録を受けておらず、デザインやブランド名の盗用について商標法や意匠法での対応が難しい場合であっても、不正競争防止法違反によって法的措置がとれる可能性があります。
ただし、不正競争防止法違反にあたるためには、盗用されたデザインやブランド名などが「周知」や「著名」である必要があり、商標権侵害などと比較してハードルが高くなっています。この点も正しく理解したうえで、自社のブランドやデザインを守る手立てを検討する必要があるでしょう。
景品表示法
景品表示法とは、うそや大げさな表示など消費者を欺くような表示を禁止する法律です。
なかでも、ファッション業界で特に注意すべきなのは「ステマ」です。ステマとは、一見しただけでは広告であることがわからない広告です。
たとえば、インフルエンサーが実際にはファッションブランドから対価を得ているにもかかわらず、その旨を表示せず、あたかも個人的な嗜好によって着用しているかのような動画を投稿することなどがこれに該当します。
このような「ステマ」をした場合、そのインフルエンサーではなく、広告主であるファッションブランドが景品表示法違反により措置命令や罰則の対象となる可能性があります。
そのため、景品表示法を正しく理解したうえで、インフルエンサーなどにブランドの広告を委託する際はステマを疑われる行為をしないよう入念に指示をするほか、契約書などにもステマを禁止する旨の規定を置くことも検討すべきでしょう。
特定商取引法
特定商取引法とは、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。
近年では、ECサイトなどを通じて製品を販売する場合もあるでしょう。インターネット販売などは特定商取引法で規制される「通信販売」に該当するため、法令を理解したうえでこれを遵守する必要があります。
取適法
取適法は正式名称を「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」といい、「下請法」が改正されたことで誕生した法律です。
この法律では、製造委託などにあたって、中小受託事業者(いわゆる、下請事業者)に対して、代金の支払い遅延など不当な取り扱いをしないことなどを規定しています。
ファッション業界では、製造やデザインなどを他者に委託することもあるでしょう。その際は取適法の内容を理解し、委託先を不当に取り扱わないよう注意しなければなりません。
ファッション業界で生じやすい主な法律トラブル
生じやすいトラブルの類型は、業界ごとに異なります。ここでは、ファッション業界で生じやすい主なトラブルを4つ解説します。
- デザイン(意匠)の模倣
- ブランド名(商標)の無断使用
- デザイナーなどの外注先との契約関係トラブル
- いわゆる「ステマ」問題
なお、伊藤海法律事務所はファッション業界の法律に精通しており、トラブルの予防からトラブル発生時の対応に至るまでさまざまなサポートが提供できます。お困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
デザイン(意匠)の模倣
ファッション業界で生じやすい法律トラブルとしては、デザイン(意匠)の模倣が挙げられます。
苦心して革新的なデザインを考案したにもかかわらず、これを模倣した類似品が出回ってしまえば、投下資本の回収が困難となりかねません。また、仮に模倣品が粗悪品であればこれが自社製品と混同され、自社のブランドイメージの低下につながるおそれがあります。
デザインの模倣は、意匠権侵害や不正競争防止法違反によって対応できる可能性があります。そのため、模倣が発覚したら早期に弁護士に相談するとよいでしょう。
ブランド名(商標)の無断使用
ブランド名やロゴマークなどの商標の無断使用も、ファッション業界で生じやすいトラブルの1つです。
ブランド名が盗用されれば消費者が自社製品と混同して他社製品を購入し、販売機会を逸する可能性が生じます。また、意匠の模倣の場合と同じく、類似品が粗悪品である場合には自社のイメージ低下につながるおそれもあるでしょう。
ブランド名など商標の無断使用は、商標権侵害や不正競争防止法違反などで対処できる可能性があるため、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
デザイナーなどの外注先との契約関係トラブル
ファッション業界では、契約相手との間でトラブルに発展する場合もあります。
たとえば、外注先のデザイナーが自社に無断で同一のデザインを他社にも納品していた場合や、OEMの委託先が独自に自社のデザインを盗用した製品の販売を始めた場合などが想定されます。
このような場合には、契約書の内容や法律に照らして解決策を検討することになるため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
いわゆる「ステマ」問題
ファッション業界では、いわゆる「ステマ」にも注意すべきでしょう。
先ほど解説したように、インフルエンサーなどに商品のPRを委託する際はステマを行わないよう注意が必要です。自社が「広告であることがわからないようにPRして」などとは伝えていなかったとしても、委託先のインフルエンサーがステマを疑われる行為をしてしまうと、広告主である自社が責任を問われる事態となりかねません。
ファッション業界で弁護士に依頼できる主なサポート内容
弁護士に依頼できるのは、紛争対応だけではありません。紛争対応はもちろんのこと、紛争やトラブルを未然に防ぐためのサポートも依頼できます。
ここでは、ファッション業界で弁護士に依頼できる主な内容を5つ紹介します。
- 契約書作成・レビュー
- 知財侵害時の法的措置
- 法律相談
- 紛争対応
- 広告のリーガルチェック
契約書作成・レビュー
弁護士には、契約書の作成やレビューを依頼できます。
弁護士に依頼することで契約実態に即した契約書の作成が可能となるほか、不利な条項が盛り込まれた契約を知らずに締結する事態なども避けやすくなるでしょう。
知財侵害時の法的措置
弁護士には、意匠権や商標権などの知財侵害時の法的措置を依頼できます。
弁護士に依頼して早急に差止請求や損害賠償請求をすることで、早期の的確な解決につながりやすくなるでしょう。
法律相談
弁護士には、法律相談ができます。
たとえば、行おうとしている行為が法律上問題ないかどうか確認したい際や、取引相手からの要求に応じるべきか否か判断に迷う場合などには、弁護士に相談するとよいでしょう。
紛争対応
弁護士には、紛争対応を依頼できます。
紛争となっている相手との交渉ややり取り、請求などを任せられるほか、調停や訴訟などに発展した場合の対応も任せられます。
広告のリーガルチェック
弁護士には、広告のリーガルチェックを任せられます。
広告を出稿する際は、景品表示法や薬機法などの法律に違反しないよう注意しなければなりません。弁護士にチェックを受けることで、知らずに景品表示法などの法律に違反する事態を避けやすくなります。
ファッション業界の法律を相談する弁護士を選ぶ際の確認ポイント
依頼する弁護士は、誰でもよいわけではありません。特に、ファッション業界では業界特有の取引や知財面での注意点なども多いため、弁護士を慎重に選定すべきでしょう。
ここでは、ファッション業界に携わる方が弁護士を選ぶ主な視点を4つ紹介します。
- ファッション業界の法律や取引慣習、トラブル事例などにくわしい
- 知財に強い
- 連絡がスムーズに取れる
- 顧問プランの内容が自社(自身)の希望に合っている
ファッション業界の法律や取引慣習、トラブル事例などにくわしい
1つ目の視点は、業界事情にくわしいか否かです。
たとえ弁護士であっても、すべての業界の取引慣習や判例・裁判例などを網羅的に熟知するのは現実的ではありません。特にファッション業界では業界ならではの注意点やトラブルも多いため、業界事情にくわしい弁護士を選ぶとよいでしょう。
なお、伊藤海法律事務所はファッション業界を含むカルチャー法務に特化しており、豊富なサポート実績を有しています。ファッション業界の法律にくわしい弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
知財に強い
2つ目の視点は、知財に強いか否かです。
先ほど解説したように、ファッション業界ではその意匠(デザイン)やブランドが非常に重要です。苦心して考案した意匠や誠実な姿勢によって築き上げた顧客との信頼の証であるブランドの類似品が世に溢れれば、投下した資本の回収が困難なものとなりかねません。
自社の意匠やブランドを適切に保護するため、弁護士を選ぶ際は知財に強いか否かにも着目するとよいでしょう。
なお、伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は弁理士資格も有しており、知財の保護から侵害時の対応に至るまで一貫したサポートを提供できます。
連絡がスムーズに取れる
3つ目は、連絡がスムーズに取れるか否かです。
弁護士との連絡がスムーズに取れなければ、その間に取引の機会を逸するなどの不利益が生じかねません。また、電話など限られた手段でしか連絡が取れないとなると、不便に感じることでしょう。そのため、継続的に依頼する弁護士を選ぶにあたっては、弁護士との連絡手段も確認しておくことをおすすめします。
なお、伊藤海法律事務所は電話やメールのほか、LINEやSlack、Chatworkでのやり取りも可能であり、自社(自身)に合った方法でのコンタクトが可能です。また、顧問契約をいただいた際には法務部のグループチャットに弁護士を追加いただくことも可能となり、よりスピーディーなサポートが提供できます。
顧問プランの内容が自社(自身)の希望に合っている
4つ目は、顧問プランの内容がニーズに合っているか否かです。
弁護士に日頃から気軽に相談したいとお考えの際は、顧問契約の締結がおすすめです。しかし、顧問プランの内容は事務所ごとに異なっており、必ずしもニーズに合った内容になっているとは限りません。
たとえば、フリーのファッションデザイナーであるにもかかわらず弁護士が中小企業を想定した顧問プランしか設けていなければ、サポート内容や月額料金が過大となる可能性があります。
そのため、その弁護士が展開する顧問プランの内容が自社(自身)のニーズに合っているかどうかも、確認しておくとよいでしょう。
なお、伊藤海法律事務所は月額料金や料金内でのサポート内容の異なる4種類の顧問プランを展開しています。そのため、フリーランスから上場企業に至るまで、過不足のないサポートの提供が可能です。
ファッション業界の法律に強い弁護士をお探しなら伊藤海法律事務所へご相談ください
ファッション業界の法律に強い弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- ファッションなどのカルチャー法務に特化している
- 代表は弁理士でもあり知財保護に強い
- ニーズに合うよう4種類の顧問契約プランを展開している
- 英文契約書にも対応している
ファッションなどのカルチャー法務に特化している
伊藤海法律事務所は、ファッションなどのカルチャー法務に特化しています。
ファッション業界における取引慣習やファッション業界で生じやすいトラブル、関連する過去の判例・裁判例などを熟知しているため、より的確なサポートが提供できます。
代表は弁理士でもあり知財保護に強い
伊藤海法律事務所の代表は、弁護士のみならず弁理士資格も有しています。
そのため、ファッション業界で欠かせない知財面に強く、商標登録・意匠登録などの知財の保護から知財侵害時の対応に至るまで、一貫したサポートを提供できます。
ニーズに合うよう4種類の顧問契約プランを展開している
先ほど解説したように、弁護士と顧問契約を締結しようにもその事務所の展開するプランがニーズに合っていなければ、顧問料やサポート内容に過不足が生じることでしょう。
伊藤海法律事務所は、フリーランスから上場企業まで過不足のないサポートを提供できるよう、月額の顧問料や顧問料に含まれるサポート内容の異なる4種類の顧問プランを展開しています。
英文契約書にも対応している
ファッション業界では、海外の企業や個人と取引すべき場面も多いでしょう。
伊藤海法律事務所は英文契約書にも対応しており、海外との取引についても一貫したサポートを提供できます。
伊藤海法律事務所のファッション業界に関する主な対応実績
伊藤海法律事務所は、ファッション業界に携わる方に対して豊富なサポート実績を有しています。ここでは、当事務所の主なサポート事例を3つ紹介します。
ファッション業界の法務にくわしい弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。
模倣品の差止めと損害賠償請求をした事例
先ほど解説したように、ファッション業界ではデザインなどの盗用に関するトラブルが少なくありません。
当事務所では、クライアントの商品の模造品が流通していることを受け、不正競争防止法違反として差止めと損害賠償請求をした実績を有しています。
韓国ブランドと日本のアーティストのタイアップを法務面で全面的にサポートした事例
ファッション業界では、国をまたいだタイアップも少なくありません。しかし、タイアップにあたっては多くの企業や個人が関与することになるため、トラブルを避けるためには、法務面での整備も不可欠です。
当事務所では、韓国ブランドと日本のアーティストがタイアップするにあたって、次のサポートを総合的に提供した実績を有しています。
- 条件折衝
- 商流スキームの構築
- スキームに関する全契約書の整備
このように、当事務所では「決まったことを書面に落とし込む」だけではなく、その前段階からのサポートの提供が可能です。
フランスのデザイナーを日本ブランドに招聘するにあたっての条件交渉や英文契約書の作成をした事例
ファッション業界では、海外からデザイナーなどを招聘するケースも散見されます。この場合には英文などでの契約書の作成などが必要となるため、対応できる弁護士は限られることでしょう。
当事務所では、クライアントである日本ブランドが新しくフランスのシューズデザイナーを招聘するにあたって、日本ブランドの代理人としてそのデザイナーとの条件交渉や英文での契約書作成をサポートした実績を有しています。
ファッション業界の法律に関するよくある質問
最後に、ファッション業界の法律に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
ファッション業界でブランドを守る法律は?
ファッション業界でブランドを守る法律としては、主に商標法と不正競争防止法が挙げられます。
自社のブランド名やブランドロゴなどが盗用された場合には、これらの法律に基づいて差止請求をしたり、損害賠償請求をしたりすることが検討できます。
ファッション業界でデザインを守る法律は?
ファッション業界でデザインを守る法律としては、主に意匠法が挙げられます。
自社のデザインが盗用された場合には、この法律に基づく差止請求や損害賠償請求などが検討できます。
まとめ
ファッション業界に携わる方が知っておくべき法律やファッション業界で生じやすい法律トラブルを紹介するとともに、ファッション業界に携わる方が弁護士を選ぶポイントなどを解説しました。
ファッション業界に関連する主な法律としては、意匠法や商標法、不正競争防止法などが挙げられます。意匠権侵害や商標権侵害、契約相手とのトラブルなどが発生した場合には、早期に弁護士に相談するとよいでしょう。相談先には、ファッション業界の取引慣習や業界で生じやすいトラブルを熟知した、知財に強い弁護士を選ぶことをおすすめします。
なお、伊藤海法律事務所はカルチャー法務に特化しており、ファッション業界で活躍する多くの方へのサポート実績を有しています。ファッション業界の法律にくわしい実績豊富な弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。



