ショートドラマはSNSとの相性がよく、企業のマーケティングとして活用されるケースも増えています。ショートドラマの制作には複数の人や企業がかかわることが多いため、トラブルを避けるためにも、契約書を取り交わすべきでしょう。
では、ショートドラマ制作委託契約書にはどのような条項を設ければよいのでしょうか?また、ショートドラマ制作委託契約書を作成する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、ショートドラマ制作委託契約書の概要や設けるべき主な条項、ショートドラマ制作委託契約書作成のポイントなどについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はカルチャー・エンターテインメント法務に特化しており、ショートドラマ制作委託契約書の作成やレビューについて豊富なサポート実績を有しています。ショートドラマ制作委託契約についてお困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
ショートドラマとは?
ショートドラマとは、短尺のドラマ仕立ての動画コンテンツのことです。InstagramやTikTok、YouTubeショートなどで配信されることが多く、長くても3分程度までにまとめられることが一般的です。
一般的なコマーシャルのように動画の中で直接商品やサービスをPRするのではなく、ストーリーを通じて消費者に自然に呼びかける構成となっているものが多いでしょう。
若年層への自然なアプローチが可能であるうえ、比較的低コストで制作・運用ができるため、マーケティングに取り入れる企業も増加傾向にあります。
ショートドラマの制作方法
ショートドラマの制作には、主に2つの方法があります。ここでは、それぞれの概要を解説します。
- 自社で独自に制作する
- 外部委託する
自社で独自に制作する
1つ目は、自社で独自に制作する方法です。そもそも自社が動画コンテンツを制作する企業であるなど、自社にショートドラマの制作に関するノウハウがあるのであれば、この方法が選択肢に入ります。
この場合はショートドラマの制作を委託するわけではないため、制作委託契約書は必要ありません。その一方で、出演する俳優などとは出演契約などを締結する必要があるでしょう。
外部委託する
2つ目は、外部の制作会社に委託する方法です。ショートドラマの制作方法としては、この方法が主流であると言えるでしょう。
ショートドラマの制作を外部委託する場合、その企業との間で制作委託契約書を取り交わすこととなります。
ショートドラマ制作委託契約書に設けるべき主な条項
ショートドラマ制作委託契約書には、どのような条項を設ければよいのでしょうか?ここでは、契約書に設けるべき主な条項を解説します。
- 委託の範囲
- 対価
- 納期・納品方法
- 著作権の帰属・二次利用の可否
- 著作者人格権の不行使特約
- 禁止事項
- 損害賠償
なお、契約実態に即した契約書を自社だけで的確に作成するのは、容易ではありません。そのため、ショートドラマ制作委託契約書を作成する際は、弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。
伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテインメント法務に特化しており、ショートドラマの制作委託契約書の作成やレビューについて豊富な実績を有しています。お困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
委託の範囲
ショートドラマの制作委託契約書では、「何を委託するか」について齟齬が生じないよう、委託範囲をできるだけ明確に記載しましょう。たとえば、すでに脚本があり、これをもとにしたキャスティングや撮影、編集だけを委託するのか、脚本の制作からすべてを委託するのかなどです。
対価
ショートドラマの制作委託契約書では、対価を明確にしましょう。
なお、ショートドラマの脚本からの制作をすべて制作会社に任せる場合、そのドラマの著作権は制作会社に帰属することが原則です。そのため、委託企業が著作権を取得するには、著作権を買い取る必要が生じます。
その際、記載の対価が「制作委託だけの対価であるのか、著作権の譲渡対価も含んでいるのか」などについてトラブルに発展するかもしれません。そのような事態を避けるため、「何の対価であるか」も明確にしておくとよいでしょう。
納期・納品方法
ショートドラマの制作委託契約書では、納期を明記しましょう。納期を明確にすることで、納期に遅れた場合の遅延損害金の請求がしやすくなります。
また、成果物である動画データをどのような形で納品するのかも明確にしておく必要があります。たとえば、指定のクラウドストレージにアップロードするのか、メール添付であるかなどです。
併せて、動画のファイル形式(MP4など)も特定しておきましょう。さらに、適正なアスペクト比もSNSごとに異なるため、投稿先に合ったアスペクト比を指定する必要があります。
著作権の帰属・二次利用の可否
ショートドラマの制作委託契約書では、著作権の帰属について明記すべきです。
先ほど解説したように、ショートドラマの著作権は、原則として制作会社に帰属します。これを例外的に委託会社に帰属させるのであれば、その旨を契約書に記載する必要があります。
そのうえで、対価の額に著作権譲渡の対価が含まれているのか、譲渡対価は別途であるのかも明記しておくとよいでしょう。
一方で、著作権が制作会社に帰属する場合も、確認の意味で契約書に明記することをおすすめします。委託者側が、「お金を支払って委託した企業に著作権が帰属するはずだ」と思い込んでいるケースも少なくないためです。
なお、ショートドラマの著作権が原則どおり制作会社に帰属する場合、委託企業は制作会社からのライセンス(利用許諾)を受けてショートドラマを自社SNSにアップロードすることとなるでしょう。
また、自社のホームページに掲載したり店頭のモニターで流したりしたいと考える場合もあると思います。これらを適法に行うため、動画の二次利用の許諾範囲についても契約書に明記する必要があります。
著作者人格権の不行使特約
著作者人格権とは、著作者に発生する人格的な権利のことです。具体的には、著作物(動画コンテンツ)を公表するタイミングを決める「公表権」や、著作者名の表示の要否などを決める「氏名表示権」、内容やタイトルを無断で改変されない「同一性保持権」がこれに該当します。
著作者人格権は、著作権とは異なり譲渡できません。そのため、ショートドラマの著作権の譲渡やライセンスを受ける際は、著作者人格権を行使しない宣言である「不行使特約」を設けることも検討するとよいでしょう。
禁止事項
ショートドラマの制作委託契約書では、禁止事項を定めるとよいでしょう。禁止事項を定めることで、相手方がこれに違反した際の契約解除や損害賠償請求がスムーズとなります。
損害賠償
ショートドラマの制作委託契約書では、損害賠償についても記載しておくとよいでしょう。ショートドラマの制作委託契約において、相手方が契約違反をした際の損害賠償額を的確に算定することは容易ではありません。
たとえば、「他者の著作権や肖像権を侵害するショートドラマが制作会社から納品され、委託企業がSNSで『炎上』をして電話対応にも追われた」などの場合、具体的な損害額の算定は困難でしょう。
契約書に損害賠償の予定額を記載しておくことで、相手方の契約違反により万が一損害を被った場合にも、スムーズな損害賠償請求が可能となります。
ショートドラマ制作委託契約書作成のポイント
ショートドラマ制作委託契約書の作成では、どのようなポイントを押さえて作成すればよいのでしょうか?ここでは、契約書作成の主なポイントを3つ解説します。
- 成果物の著作権の帰属について明記する
- 出演者に不祥事があった際の対応を明記する
- 弁護士のサポートを受ける
成果物の著作権の帰属について明記する
1つ目は、成果物であるショートドラマの著作権の帰属を明記することです。
コンテンツ制作に関する著作権の帰属に関するトラブルは、少なくありません。トラブルに発展する事態を避けるため、著作権がいずれの当事者に帰属するのかについて契約書で明確にしておくべきでしょう。
出演者に不祥事があった際の対応を明記する
2つ目は、出演者に不祥事があった際の対応を明記することです。
ショートドラマには多くの人が関わるため、コンテンツの納品後に出演者の不祥事が発覚する場合もあるでしょう。不祥事の内容によっては、自社の印象低下につながるおそれがあります。
とはいえ、委託企業は出演者と直接的に契約を締結しているわけではないケースが多いため、委託企業は制作会社に何らかの対応を求めることになるでしょう。一般的な対応は損害賠償請求であるものの、動画の差し替えを求めることも検討できるかもしれません。
契約書で対応方法を明記しておくことで、不祥事が発覚した際にもスムーズな対応が可能となります。
弁護士のサポートを受ける
3つ目は、弁護士のサポートを受けることです。ショートドラマ制作委託契約書には注意すべき点が多く、自社だけで作成すれば問題のある契約書を締結してしまうかもしれません。
トラブルが起きてから「このような条項を設けておけばよかった」などと後悔する事態を避けるため、ショートドラマ制作委託契約書の作成に際しては弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテインメント法務に特化しており、ショートドラマの制作委託契約に関しても豊富なサポート実績を有しています。ショートドラマ制作委託契約書の作成でお困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
ショートドラマ制作委託契約書の作成を弁護士に依頼するメリット
ショートドラマ制作委託契約書の作成を弁護士に依頼することには、大きなメリットがあります。ここでは、主なメリットを2つ紹介します。
- 状況に合った的確な契約書が作成できる
- トラブル発生時の対応がスムーズとなる
状況に合った的確な契約書が作成できる
ショートドラマ制作委託契約書は、契約実態や契約の目的に即した内容で作成する必要があります。契約内容が実態と異なっているなどの問題があれば、トラブルの原因となるおそれもあるでしょう。
弁護士のサポートを受けることで、契約実態や契約目的に合った的確な契約書の作成が可能となります。
トラブル発生時の対応がスムーズとなる
弁護士は、トラブルが発生してから対応を依頼されるケースも少なくありません。その際、「契約書にこのような文言が入っていれば、もう少しスムーズに解決できたのに」と悔しく思うこともあります。
そのため、ショートドラマ制作委託契約書の作成について弁護士のサポートを受けることで、トラブル発生から「逆算」をした条項の提案を受けることが可能となります。その結果、トラブルの抑止につながり、トラブル発生時にもスムーズかつ自社に有利な解決がしやすくなるでしょう。
ショートドラマの制作委託契約書の作成・レビューは伊藤海法律事務所にご相談ください
ショートドラマ制作委託契約書の作成やレビューは、伊藤海法律事務所にお任せください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- エンタメ法務に特化している
- 知財に強い
- 顧問契約も可能である
- 英文契約書にも対応している
エンタメ法務に特化している
伊藤海法律事務所は、カルチャー・エンターテインメント法務に特化しており、ショートドラマ制作委託契約についても豊富なサポート実績を有しています。業界において生じやすいトラブルや判例などを熟知しているため、より的確なサポートが提供できます。
知財に強い
伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに、知財を専門とする国家資格である弁理士資格も有しています。そのため、ショートドラマの知財保護から知財侵害時の対応に至るまで一貫したサポートが可能です。
顧問契約も可能である
ショートドラマの制作などに関して、日頃から弁護士に気軽に相談したいという希望も少なくありません。
伊藤海法律事務所は、顧問契約にも対応しています。顧問契約をいただいた際には法務部のグループチャットに弁護士を追加いただくことも可能となり、日頃から気軽にご相談いただけるほか、よりスピーディーな対応が実現できます。
英文契約書にも対応している
ショートドラマの制作に関して、海外の企業や個人と契約を交わす場面も少なくないでしょう。伊藤海法律事務所は英文契約書にも対応しており、海外との契約のサポートも可能です。
伊藤海法律事務所の主な解決実績
伊藤海法律事務所は、ショートドラマの制作に関して豊富なサポート実績を有しています。ここでは、当事務所の主なサポート実績を紹介します。
韓国の大手クリエイティブからショートドラマのキャスティングと制作を受託した企業からの依頼で受託契約書を作成した事例
ショートドラマの制作では、海外から受託を受けるケースもあります。
韓国の大手クリエイティブからショートドラマの制作とキャスティングを依頼された事例があり、当事務所で受託契約書を作成しました。
自社で制作したショートドラマのサムネイルとタイトルをポートフォリオとしてウェブサイトに無断掲載していた企業に法的措置をした事例
自社で制作したショートドラマについて、他社のウェブサイト上に、あたかもその企業の実績であるかのようにサムネイルとタイトルが掲載されていた事例です。
当事務所はその企業に対し、差止請求と損害賠償請求を行いました。
ショートドラマ現場統括ディレクターの不祥事による業務委託契約の合意解約交渉を実施した事例
ショートドラマには多くの人が関わるため、関係者が不祥事を起こすケースもあります。
この事例ではショートドラマの現場統括ディレクターが不祥事を起こし、業務委託契約を解除する必要がありました。そこで、当事務所が代理人として交渉し、業務委託契約の合意解除に至っています。
ショートドラマ制作委託契約書に関するよくある質問
最後に、ショートドラマ制作委託契約書に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
ショートドラマの制作委託契約書の作成は誰に依頼すればよい?
ショートドラマ制作委託契約書の作成は、カルチャー法務やエンターテインメント法務に特化した事務所に相談するのがおすすめです。お困りの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
ショートドラマの制作委託契約書はひな型を流用してもよい?
ショートドラマ制作委託契約書の作成にひな型を流用することは、おすすめできません。ひな型の内容が、自社の契約実態に即しているとは限らないためです。
トラブルを避けるためにも、弁護士のサポートを受け、契約実態に合った契約書を作成することをおすすめします。
まとめ
ショートドラマ制作委託契約書に盛り込むべき条項や作成のポイントなどを解説しました。
ショートドラマ制作委託契約書には委託の範囲や対価、納期などのほか、著作権の帰属などについても明記すべきでしょう。コンテンツの著作権帰属について、トラブルとなるケースは少なくないためです。
契約実態に合った的確な契約書を作成するため、契約書の作成にあたっては弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。弁護士のサポートを受けることで、いざというときに自社の身を守る契約書の作成が可能となるでしょう。
伊藤海法律事務所はカルチャー・エンターテインメント法務に特化しており、ショートドラマ制作委託契約に関して豊富なサポート実績を有しています。ショートドラマ制作委託契約書の作成でお困りの際や、ショートドラマ制作委託契約についてトラブルが発生してお困りの際などには、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。



