すべての事業者が理解しておくべき法律の1つに、景表法があります。景表法は2024年10月1日に改正法が施行され、罰則も強化されています。
では、景表法とはどのような法律であり、違反するとどのような事態が生じるのでしょうか?また、景表法について弁護士に相談することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、景表法の概要や違反した場合の罰則、景表法に関して弁護士にサポートを受けるメリットなどを解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)は景表法について豊富なサポート実績を有しており、景表法に違反しないためのリーガルチェックなどを行っています。景表法について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
景表法とは
景表法(不当景品類及び不当表示防止法)とは、不当表示や不当景品から一般消費者の利益を守るための法律です。
商品やサービスについて正しく表示されていなければ、消費者は合理的に商品やサービスを選択することができません。たとえば、「カシミヤ80%」のマフラーAと「カシミヤ50%」のマフラーBが同等の値段で売られていれば、消費者はマフラーAを選ぶ可能性が高いでしょう。しかし、実はマフラーAの表示は嘘であり、実際のカシミヤ混合率は30%であれば、消費者の合理的な選択は阻害されてしまいます。
また、「他社と比較してうちが一番安いですよ」という言葉を信用して購入したにもかかわらず、実際には他社の方が安かった場合も同様です。
さらに、商品に対して不当に高い景品が当たる懸賞などが実施された場合、消費者は商品の良し悪しに関わらずその商品を購入する可能性があります。そのような事態が生じれば、公正な競争が阻害されかねません。
このように、事実と異なる表示や不当な景品などがまかり通れば、消費者が不利益を被ります。そこで、景表法では「表示に関する規制」と「景品に関する規制」の2つの規制を設けています。
表示に関する規制
表示に関する規制とは、虚偽の表示や大げさな表示など、消費者を騙すような表示を規制するものです。表示に関する規制は、次の3つに分類できます。
- 優良誤認表示の禁止
- 有利誤認表示の禁止
- その他誤認されるおそれがある表示の禁止
優良誤認表示の禁止
優良誤認表示とは、商品・サービスの品質や規格などの内容について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると誤認させる表示のことです。
たとえば、牛肉のブランドを偽ったり、中古自動車の走行距離を偽ったりすることなどがこれに該当します。また、ダイエット食品の痩身効果や生活空間におけるウィルス除去効果などのように、合理的な根拠がない効果・性能を表示する行為も優良誤認表示にあたるとされています。
有利誤認表示の禁止
有利誤認表示とは、価格を著しく安くみせかけるなど、取引条件を著しく有利にみせかける表示のことです。
たとえば、実際には他社と同程度の内容量しかないにもかかわらず、あたかも「他社商品の2倍の内容量」であるかのように表示する行為や、実際には別途費用がかかるにもかかわらず、あたかも「〇〇円」だけを支払えば歯列矯正のサービスを利用できるかのように表示する行為などがこれに該当します。
優良誤認表示が商品やサービスそのものに関して誤認を与える表示であるのに対し、有利誤認が取引条件について誤認を与える表示である点で異なります。
その他誤認されるおそれがある表示の禁止
その他誤認のおそれがある表示として、次の6つが告示として規制されています。
- 無果汁の清涼飲料水等についての表示
- 商品の原産国に関する不当な表示
- 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
- おとり広告に関する表示
- 不動産のおとり広告に関する表示
- 有料老人ホームに関する不当な表示
自社の事業に関連する告示がある場合には、一読しておくとよいでしょう。
景品に関する規制
景品に関する規制とは、過大な景品類の提供を禁止する制度のことです。景品に関する規制では懸賞を事業者が単独で実施する「一般懸賞」と、ショッピングモールや商店街など複数の事業者が共同で実施する「共同懸賞」に分け、それぞれ景品の上限額がなどを定めています。
景表法に違反するとどうなる?
景表法に違反した場合、どのような事態が生じるのでしょうか?ここでは、景表法に違反した場合に生じ得る事態を5つ解説します。
- 措置命令の対象となる
- 刑事罰の対象となる
- 課徴金納付命令の対象となる
- 差止請求の対象となる
- 企業の信頼が失墜する
知らずに景表法に違反する事態を避けたい場合や、景表法に違反しない広告表現について相談できる弁護士をお探しの場合には、伊藤海法律事務所までご相談ください。当事務所は広告などのリーガルチェックについて豊富なサポート実績を有しています。
措置命令の対象となる
景表法に違反し、情報提供などによってこれを消費者庁や公正取引委員会などが察知すると、まずは違反の有無について調査がなされます。調査の結果、違反の事実まではなく違反のおそれのみがあると判断されると、指導がなされます。
一方で、違反の事実があると判断されると、措置命令の対象となります。措置命令とは、不当表示によって一般消費者に与えた誤認を排除することや再発防止策を実施すること、今後同様の違反を行わないことなどが命じられるものです。
景表法違反の措置命令は消費者庁からなされるのが原則であるものの、都道府県知事も権限を有しているため、都道府県から措置命令が出されることもあります。
刑事罰の対象となる
景表法に違反して優良誤認表示や有利誤認表示をした場合には、刑事罰の適用対象となります。
この場合の刑事罰は、100万円以下の罰金です(景表法48条)。また、これには両罰規定も設けられており、法人の業務の一環として違反がなされた場合には、法人も100万円以下の罰金刑の対象となります(同49条)。
また、措置命令が出されたにもかかわらずこれに従わなかった場合には、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科に処されます(同46条)。法人の業務の一環で違反がなされた場合、法人も3億円以下の罰金刑の対象となります(同49条)。
以前は、景表法に違反した際にいきなり罰則が適用されることはなく、まずは措置命令が出され、これに違反した場合に罰則が適用されていました。しかし、景表法が改正され、2024年10月1日からは、違反が直ちに100万円以下の罰金刑の対象となる直罰規定が設けられています。
課徴金納付命令の対象となる
景表法に違反して優良誤認表示や有利誤認表示をした場合、課徴金納付命令の対象となります。課徴金とは、法律に違反する行為に対し、行政機関が科す金銭的な制裁です。
景表法の規制を無視して極端な優良誤認表示や有利誤認表示を行えば、消費者をだますことによって莫大な財を築けるかもしれません。これに対するペナルティが小さければ、悪質な事業者の撲滅は困難でしょう。そこで、金銭的な制裁により違反行為を抑止することなどを目的として、課徴金制度が設けられています。
景表法違反による課徴金の額は、対象期間中における景表法違反による売上額の3%です。ただし、違反を知らず、かつ知らなかったことについて相当の理由がある場合や計算結果の金額が150万円未満となる場合には、課徴金の納付は命じられません。
また、2024年10月1日に施行された改正法により、事業者による自主的な解決を促す「確約手続き」が新設されました。この規定に基づいて事業者が自ら問題を解決するための確約計画を作成して申請し、消費者庁から認定を受けた場合には、課徴金納付命令はなされません。
課徴金の納付や確約手続きについて相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までご連絡ください。
差止請求の対象となる
景表法に違反した場合、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体から差止請求がなされる可能性が生じます。差止請求とは、不当な表示などの不当行為をやめるよう求めるものです。差止請求がなされた場合には、企業としてこれに対応する必要が生じます。
企業の信頼が失墜する
景表法に違反し、措置命令の対象となった場合、企業名などが消費者庁のホームページで公表されます。これは誰でも見ることができるため、企業の信頼失墜につながるおそれがあるでしょう。これにより顧客や取引先が離れ、業績が低迷するおそれも生じます。
景表法に関して弁護士に依頼できる主なサポート
先ほど解説したように、景表法違反のリスクは小さいものではありません。そのような事態を避けるため、景表法について相談できる弁護士を見つけておくとよいでしょう。
では、景表法に関して弁護士に依頼できるサポートには、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、弁護士による主なサポート内容を2つ解説します。
- 広告出稿前のリーガルチェック
- 動画・webサイトなど各媒体出稿前のリーガルチェック
景表法についてサポートを受けられる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。当事務所は、企業が出稿する広告などの媒体のリーガルチェックについて、豊富な実績を有しています。
広告出稿前のリーガルチェック
弁護士へは、広告出稿前のリーガルチェックを依頼できます。
紙媒体・Web媒体を問わず、広告内容の責任は原則として出稿者である企業にあります。あまりにも過激な表現であれば出向先の媒体からNGが出される可能性もあるとはいえ、「景表法に違反していないかどうか」などの責任を持つべきであるのは、原則として出稿者自身です。
そのため、広告の出稿経験が浅い場合や新たな商品・サービスを広告する場合、新たな表現による広告を試みる場合などには、景表法違反にあたらないか多かれ少なかれ不安を感じることでしょう。
そこで、景表法に違反していないか否かの観点から、弁護士に事前に確認を受けることが検討できます。
動画・webサイトなど各媒体出稿前のリーガルチェック
景表法の対象となるのは、正規の広告だけではありません。企業のWebサイトや動画なども、表現によっては景表法違反となるおそれがあります。
なかでも、商品やサービスを紹介するwebページや動画などは顧客が購入を決める判断材料となりやすいため、景表法違反にあたる表現を使わないよう特に注意が必要です。そこで、これらの出稿前に弁護士の確認を受けることが検討できます。
景表法に関して弁護士に依頼する主なメリット
景表法に関して弁護士にサポートを依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを3つ解説します。
- 知らずに景表法違反をする事態を避けられる
- 安心して広告や媒体を出稿しやすくなる
- フィードバックを受けることで社内にノウハウが蓄積する
なお、伊藤海法律事務所は景表法にまつわるリーガルチェックについて、豊富なサポート実績を有しています。景表法に強い弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご連絡ください。
知らずに景表法違反をする事態を避けられる
1つ目は、知らずに景表法違反となる事態を避けられることです。
景表法について十分に理解していなければ、思わぬ違反をするおそれが生じます。しかし、理解不足からの違反であるからといって、措置命令や課徴金納付命令などが免除されるわけではありません。また、景表法違反が公になれば、企業イメージの失墜も避けられないでしょう。
弁護士に事前のリーガルチェックなどのサポートを依頼することで、景表法違反にあたる広告を知らずに出稿する事態を避けられます。
安心して広告や媒体を出稿しやすくなる
2つ目は、安心して広告や媒体を出稿しやすくなることです。
景表法について十分に理解できていない場合、景表法に違反する事態を避けるため、過度に保守的な表現となる可能性があるでしょう。その結果、販売の機会を逃してしまう事態は避けたいことかと思います。
弁護士に広告などのリーガルチェックを依頼することで、どの程度の表現であれば違反に当たらないのかの判断がしやすくなり、過度に保守的となる事態を避けやすくなります。
フィードバックを受けることで社内にノウハウが蓄積する
3つ目は、フィードバックを受けることで、社内にノウハウが蓄積することです。
弁護士に広告などのリーガルチェックを依頼した場合、弁護士から問題のある広告表現についてのフィードバックや、修正表現の提案などが受けられます。これにより、広告表現について社内にノウハウが蓄積し、景表法に適合した広告表現を模索しやすくなります。
景表法に強い弁護士をお探しなら伊藤海法律事務所へご相談ください
景表法に強い弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ解説します。
- 景表法に関するサポート実績が豊富にある
- 多様な連絡手段がありスピーディーに対応できる
- 多様な顧問契約プランを設けている
景表法に関するサポート実績が豊富にある
伊藤海法律事務所は、景表法に関するサポート実績を豊富に有しています。また、広告出稿にあたって景表法と並んで注意すべき薬機法の観点からのリーガルチェックも可能です。
そのため、販売したい商品・サービスの特性に応じた的確な助言が可能です。
多様な連絡手段がありスピーディーに対応できる
伊藤海法律事務所は、電話やメールのほか、LINEやSlack、Chatworkなどさまざまな連絡手段に対応しており、クライアント様にとっての負担軽減につながります。また、相談の都度予約をとったり事務所へ来所したりする必要がないため、スピーディーな対応を実現しています。
多様な顧問契約プランを設けている
広告などの媒体のリーガルチェックが頻繁に生じる場合、顧問契約の締結がおすすめです。顧問契約を締結した場合には、弁護士を法務部チャットに追加いただくことも可能となり、よりスピーディーな対応が実現できます。また、弁護士へのリーガルチェックの依頼をフロー化することで、法務部員の負担軽減にもつながるでしょう。
伊藤海法律事務所は、月額料金と料金に含まれるサービス内容が異なる4つの顧問契約プランを設けています。そのため、自社の規模や業務のボリューム、予算などに合った過不足のないプランを選択できます。
まとめ
景表法の概要や景表法に違反した場合に生じるリスク、景表法に関して弁護士に依頼できる内容や弁護士にサポートを依頼するメリットなどを解説しました。
景表法とは、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選択するため、虚偽の表示や過大な景品類の提供を規制する法律です。企業が広告など消費者の目に触れる媒体を出稿する際は、景表法に違反しないよう十分に注意しなければなりません。景表法に違反すれば措置命令や課徴金納付命令の対象となるほか、企業の信頼が失墜するおそれも生じます。
知らずに景表法に違反する事態を避けるためには、広告などの出稿前に弁護士にリーガルチェックを受ける体制を整備すると良いでしょう。弁護士に事前に確認を受けることで知らずに景表法違反の広告を出稿する事態を避けられるほか、過度に保守的となる事態も回避できます。
伊藤海法律事務所は景表法や薬機法の観点からのリーガルチェックについて、豊富な実績を有しており、的確な広告表現などの提案も可能です。景表法について相談できる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。