契約書は、原則として法律に優先して当事者間のルールとなるものです。契約書に不備があればトラブル発生時の解決が困難となったり、不利な結果を招いたりするかもしれません。
特に、芸能業界では契約期間が長期となったりトラブル発生時の影響が甚大なものとなったりする場合も多く、契約書の内容を慎重に検討することをおすすめします。
では、芸能分野における契約書チェックを弁護士に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?また、芸能分野の契約書チェックは、どのような弁護士に依頼すればよいのでしょうか?今回は、芸能分野における契約書チェックについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(伊藤海法律事務所)はエンターテイメント法務に特化しており、芸能分野における契約書チェックや契約交渉などに関して豊富なサポート実績を有しています。芸能分野の契約書チェックをご希望の際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
▼この記事のポイント
- 芸能分野で取り交わされる主な契約書には、マネジメント契約書やタレント出演契約書、著作権譲渡契約書などがある
- 芸能分野の契約書チェックを弁護士に依頼することには、契約実態に即した契約書の作成によりトラブル予防につながることや、トラブル発生時にスムーズかつ自社(自身)に有利な解決をはかりやすくなることなどのメリットがある
- 芸能分野の契約書チェックは、芸能分野におけるサポート実績が豊富にあり、コミュニケーションをスムーズにとれる弁護士に依頼するのがおすすめ
芸能分野で締結される主な契約書
芸能分野で締結される主な契約書としては、次のものが挙げられます。
- マネジメント契約書
- エージェント契約書
- タレント出演契約書
- 肖像権・実演家権利使用同意書
- 著作権譲渡契約書
ここでは、芸能分野における主な契約書について概要を解説します。
マネジメント契約書
マネジメント契約書とは、芸能事務所や声優事務所などが事務所に所属するタレントや声優などと取り交わす契約書です。タレント等が仕事をした場合における報酬の配分のほか、所属事務所が提供する「マネジメント」の主な内容、タレント等が遵守すべき義務などについて定めます。
なお、マネジメント契約の場合には、そのタレント等のスケジュール管理やブランディング、育成などのマネジメントを事務所が一手に担うことが一般的です。そのため、一般的には、所属タレント等が事務所を通さずに仕事を獲得することなどは禁止されます。日本の芸能業界において、従来より多く活用されてきた契約形態であるといえるでしょう。
エージェント契約書
エージェント契約書とは、芸能事務所などがタレント等との間で「エージェント契約」を締結する際に取り交わす契約書です。
エージェント契約とは、仕事を獲得するための営業活動や報酬の交渉などの業務を芸能事務所に任せる契約です。エージェント契約では、タレント等が独自に仕事を獲得することは禁止されません。また、スケジュール管理やブランディングなども自らが行うため、事務所が獲得した仕事が意に沿わなければ断ることも可能です。
タレント等の側にとって自由度が高い反面、事務所が積極的に仕事を獲得してくれるとの保証もなく、タレント等の「自己責任」の側面が強い契約形態であるといえます。
タレント出演契約書
タレント出演契約書とは、タレント等がテレビ番組や映画、舞台などに出演するにあたって、制作会社などとタレント側(一般的には、その所属事務所)とで取り交わす契約書です。
タレント出演契約書では、出演するテレビ番組や舞台の概要のほか、報酬やスケジュールなどについて定めることが一般的です。この契約書では、特に権利関係の的確な処理が重要となります。
また、契約期間が長期にわたる場合には途中で不測の事態が生じる可能性もあり、これらに備えた条項の整備が不可欠です。
肖像権・実演家権利使用同意書
肖像権・実演家権利使用同意書とは、対象者の肖像や実演の様子をテレビで放映したり広告として掲載したり、ウェブサイトに掲載したりすることについて同意を得る書面です。対象者がタレント等であれば、対価が発生することが一般的です。
また、街角インタビューの様子を放映する場合や視聴者が観覧できる番組で観覧者が映り込む可能性がある場合に、インタビューの対象者や観覧者などから同意を得る場合などもあるでしょう。この場合には有償とする場合もある一方で、無償とする場合もあります。
著作権譲渡契約書
著作権譲渡契約書とは、著作権を譲渡する際に取り交わす契約書です。たとえば、楽曲を制作したアーティストが所属事務所にその楽曲の著作権を譲渡する際などに、この契約を締結します。
なお、著作権の対象となる「著作物」は幅広く、音楽や歌詞、小説、イラストなどのほか、写真や振り付け、テレビドラマの脚本なども著作物となり得ます。そのため、1つの音楽番組や1つのテレビドラマを制作するだけでも、大量の著作権が複雑に処理されています。
芸能分野の契約書チェックを弁護士に依頼するメリット
芸能分野の契約書チェックを弁護士に依頼する主なメリットには次のものが挙げられます。
- 契約実態に即した契約書が作成できトラブル予防につながる
- トラブル発生時にスムーズかつ自社(自身)に有利な解決をはかりやすくなる
- 自社でチェックする時間と手間を削減できる
それぞれのメリットについて、概要を解説します。
契約実態に即した契約書が作成できトラブル予防につながる
弁護士に依頼することで、契約実態に即した的確な契約書の作成が可能となり、予期せぬトラブルの予防につながります。
ひな型を流用して契約書を作成した場合などには、ひな型の条項が修正しきれておらず、契約実態とは異なる内容となっている場合があります。しかし、実態に即さない契約書を締結することは、トラブルの原因となりかねません。
また、著作権などの権利の処理に不備があれば、制作会社側が当初想定した形でコンテンツが利用できなかったり、タレント側が予期しなかった形でコンテンツが利用されたりするおそれも生じます。
トラブル発生時にスムーズかつ自社(自身)に有利な解決をはかりやすくなる
芸能分野に特化した弁護士は、芸能業界において生じやすいトラブルを熟知しています。そのため、トラブル発生から「逆算」をして、より自社(自身)にとって望ましい条項の検討が可能となります。
契約書がその真価を発揮するのは、相手方との間でトラブルが発生したときにあるといえます。よく理解しないまま契約書を締結してしまうと、トラブル発生時の対応が困難となったり、自社(自身)にとって不利な解決策をとらざるを得なくなったりするかもしれません。
自社でチェックする時間と手間を削減できる
契約書を自社だけでチェックしようとすれば、相当な手間と時間を要するでしょう。契約書のチェックを弁護士に依頼することで手間と時間を削減でき、自社のリソースを別の場所へ振り向けることが可能となります。
芸能分野の契約書チェックを依頼する弁護士を選ぶ際の確認ポイント
芸能分野の契約書チェックは「弁護士なら誰でもよい」と考えるのではなく、芸能分野に特化した弁護士を選ぶのがおすすめです。ここでは、芸能分野の契約書チェックを依頼する弁護士を選ぶ際の確認ポイントを3つ紹介します。
- 芸能分野におけるサポート実績が豊富にある
- コミュニケーションをスムーズにとれる
- 顧問契約に対応している
芸能分野におけるサポート実績が豊富にある
芸能分野の契約書チェックは、芸能分野におけるサポート実績が豊富な弁護士に依頼するとよいでしょう。芸能分野に特化した弁護士であれば、芸能業界における取引慣例や芸能業界において生じやすいトラブルなどを熟知しており、より的確なサポートを受けられる可能性が高いためです。
伊藤海法律事務所はエンターテイメント法務に特化しており、芸能分野での契約書チェックや契約交渉などについて豊富なサポート実績を有しています。芸能分野に特化した弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
コミュニケーションをスムーズにとれる
芸能分野では、スピーディーな対応を求められることも多いでしょう。そのようななかで弁護士とスムーズに連絡が取れなければ、取引の機会を逃してしまうかもしれません。そのため、芸能分野に携わる方が弁護士を選ぶ際は、コミュニケーションがスムーズにとれるかどうかも確認することをおすすめします。
なお、伊藤海法律事務所では電話やメールのほか、LINEやChatwork、Slackなどでのコンタクトも可能です。コミュニケーションがスムーズにとれる弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
顧問契約に対応している
芸能分野では、何らかの困りごとや不明点が生じた際、日頃から弁護士に気軽に相談したいと考えることも多いでしょう。その場合には、顧問契約を検討するのがおすすめです。
いずれ弁護士と顧問契約を締結したいとお考えの際は、個別の業務を「自社(自身)に合った弁護士を探すきっかけ」とも考え、契約書のチェックを依頼する段階から顧問契約に対応している弁護士を選ぶとよいでしょう。
契約書チェックのほかに芸能分野で弁護士に依頼できる主な内容
弁護士へは、契約書チェックのほかにもさまざまなサポートを依頼できます。ここでは、芸能分野において契約書のチェックのほかに弁護士にサポートを依頼できる主な内容を紹介します。
- 法律相談
- 紛争対応
- 誹謗中傷対応
- 不祥事対応
なお、伊藤海法律事務所はここで紹介するサポートなどについて豊富な対応実績を有しています。芸能分野に特化した実績豊富な弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にご相談ください。
法律相談
業務や芸能活動などを行う中で、「これは法的に問題なのだろうか?」や「契約の相手方からこのような主張をされたが、従わなければならないのだろうか?」「法改正がされたようだが、自社(自身)にも影響があるだろうか?」などと疑問に感じることもあるでしょう。
弁護士には、法律に関して疑問が生じた際に相談できます。
紛争対応
弁護士には、紛争対応を依頼できます。
紛争の対処方法を相談できるのみならず、ご希望に応じて相手方との交渉・やり取りを弁護士に代理してもらったり、訴訟に発展した際に訴訟対応を任せたりすることも可能です。
誹謗中傷対応
SNSなどでの誹謗中傷が社会問題となっており、タレント等が被害者となってしまう場合もあるでしょう。弁護士には、インターネット上などで誹謗中傷された場合の法的措置を任せられます。
不祥事対応
タレント等が、不祥事を起こしてしまう場合もあるでしょう。不祥事の影響を最小限に抑えるためには、早期の適切な対応がカギとなります。
弁護士には、不祥事発生時の対応について相談したり、対応の舵取りを任せたりすることが可能です。
芸能分野の契約書チェックは伊藤海法律事務所にご相談ください
芸能分野の契約書チェックは、伊藤海法律事務所にお任せください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- エンターテイメント法務に特化している
- 代表は弁理士でもあり知財保護にも強い
- 顧問契約にも対応している
- 英文契約書にも対応している
エンターテイメント法務に特化している
伊藤海法律事務所はエンターテイメント法務に特化しており、芸能分野に携わる多くの方へのサポート実績を有しています。芸能業界における取引慣習や生じやすいトラブルなどを熟知しているため、より的確なサポートが提供できます。
代表は弁理士でもあり知財保護にも強い
伊藤海法律事務所の代表である伊藤海は、弁護士のほかに弁理士資格も有しています。そのため、知財の保護や処理から知財侵害時の対応に至るまで、総合的なサポートの提供が可能です。
顧問契約にも対応している
伊藤海法律事務所は、顧問契約にも対応しています。また、月額料金や料金内に含まれるサポート内容が異なる4種類の顧問プランを展開しており、個人で活動されている方から上場企業に至るまで過不足のないサポートが提供できます。
英文契約書にも対応している
伊藤海法律事務所は、英文契約書にも対応しています。そのため、海外の企業や個人と契約を締結すべき場面においても、一貫したサポートが提供できます。
芸能分野の契約書チェックに関する伊藤海法律事務所の主な対応実績
伊藤海法律事務所は、芸能分野の契約書チェックに関して豊富なサポート実績を有しています。ここでは、当事務所の主なサポート事例を3つ紹介します。
困りごとやトラブルの内容に応じた柔軟な対応が可能であるため、まずはお気軽にご相談ください。
設立直後の芸能事務所へ契約書面一式を整備した事例
芸能事務所を立ち上げた直後は、事務所独自の契約書式などが存在しないことが一般的です。しかし、必要となった際に慌てて作成しようとすれば作成に時間を要して機会を逸したり、急ぐあまりチェックが不十分な状態で締結してしまったりするかもしれません。
そこで、当事務所では設立直後の事務所に対し、「スターターパック」として、次の書式などをまとめて整備した事例があります。
- 秘密保持契約書
- マネジメント契約書
- 業務提携契約書
- 外注関係書類(業務委託契約書、カメラマン契約書)など
プロダクション優位の契約書を俳優側優位にした事例
俳優が事務所(プロダクション)と締結するマネジメント契約書やエージェント契約書などの原案は、事務所側が用意することが一般的です。この原案は、事務所側に有利な内容となっていることが少なくありません。
当事務所では、俳優側から依頼を受けてプロダクション側と交渉し、提示された原案を俳優側に有利となる内容へと変更した実績を有しています。
出演契約書をチェックした事例
先ほど解説したように、芸能業界では契約を締結すべき場面が少なくありません。
当事務所では、番組や広告、SNS広告、イベントなどに俳優などが出演するにあたって、出演契約書をチェックした実績を多数有しています。
芸能分野における契約書に関するよくある質問
最後に、芸能分野の契約書に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
事務所から提示された契約書にそのまま署名押印してもよい?
事務所から提示された契約書にそのまま署名押印することは、おすすめできません。事務所が提示する契約書は絶対的なものではなく、あくまでも「事務所側が提示する案」に過ぎないためです。
これには、事務所側に有利となる条項が盛り込まれている可能性も否定できません。そのため、その場ですぐに署名や押印することは避け、可能であればいったん持ち帰って弁護士に相談すべきでしょう。
契約書を取り交わさなくても契約は成立する?
書面を取り交わさなければ契約が成立しないとされている一部の類型のものを除き、契約書がなく口頭やメールなどのやり取りだけであっても、契約は成立し得ます。
しかし、正式な契約書がない場合、トラブル発生時の対応が困難となりかねません。そのため、原則として契約書は取り交わすべきでしょう。
まとめ
芸能分野において取り交わされることの多い契約書を紹介するとともに、契約書のチェックを弁護士に依頼するメリットや契約書のチェックを依頼する弁護士を選ぶ視点などについて解説しました。
契約書は、原則として法律に優先して当事者間のルールとなるものです。そのため、安易に取り交わすことは避け、内容を慎重に検討しチェックしたうえで締結すべきでしょう。
芸能分野における契約書のチェックは、芸能分野に特化した弁護士に依頼するのがおすすめです。弁護士に依頼することで契約実態に即した的確な契約書の作成が可能となり、トラブルの抑止やトラブル発生時のスムーズな解決につながりやすくなります。
伊藤海法律事務所はエンターテイメント法務に特化しており、芸能分野における契約書チェックについて豊富なサポート実績を有しています。芸能分野に特化した実績豊富な弁護士をお探しの際は、伊藤海法律事務所までお気軽にお問い合わせください。



